第15回  イメージングカフェ  レポート  


    【ご参考】第15回募集案内

2012年9月7日(金) 18:30より恵比寿カルフールにて、第15回イメージングカフェを開催致しました(参加者14名:委員、講師含む)

今回は、導電性機能材料の研究で数々の成果を上げられている千葉大学大学院融合科学研究科教授の星野勝義先生をお招きし、「導電性機能材料のイノベーション −無類の透明導電材料と持続的エネルギー変換材料への展開−」というタイトルでご講演をいただきました。

星野先生のご専門は電子写真と電気化学ですが、今回のご講演は日本画像学会でお話をいただく電子写真関連のご研究内容ではなく、電気化学に関連したご研究である導電性ポリマーを用いた「新規な透明導電材料の開発」と「空中窒素固定」に関する2つの最新の研究内容についての大変興味深いお話でした。

まず、1つめの話題の「透明導電材料の開発」に関するお話は、導電性ポリマーの基礎を専門外の私にも分かるご説明をいただいた後、液晶TV、太陽電池の電極、ゲーム機やスマートフォンのタッチパネルなどの材料に不可欠な透明導電材料の開発手法についてお話いただきました。市場のニーズに応えるためには無色透明の導電体膜を形成することが必要不可欠です。女子大学院生を指導する過程で、導電性ポリマーであるポリカルバゾール膜に金属を接触させるだけで無色透明の導電体膜(無色透明でありながら、電気伝導性を有するポリカルバゾールと錫のハイブリッド膜)が偶発的に創製されたことに続き、導電性や利便性を高めるために透明導電材料インクの開発を行ったこと、さらにはナノワイヤー分散型透明導電膜のキー材料であるコバルトナノワイヤーの形成反応を見いだしたこと等の貴重な苦労話を伺うことができました。

もう一つの話題は「空中窒素固定」の話です。先ず初めに我々人間が摂取するタンパク質中の窒素の1/3は、合成肥料(ハーバー・ボッシュ法による人工窒素固定)に由来しており、残りの2/3は根粒菌による窒素固定(自然界の窒素固定)であるとの説明がありました。しかしながら、ハーバー・ボッシュ法で合成肥料を作るためには、化石燃料由来のエネルギー(石油)と水素ガスが必要であり、そう遠くない将来に化石燃料が枯渇した後は、ハーバー・ボッシュ法による人工窒素固定が困難となる事態も考えられるという衝撃的なお話がありました。従って、人類を救うためには化石燃料を使用しない空中窒素固定技術を開発する必要があります。この状況下、導電性ポリマーの研究を進める過程で、導電性ポリマーに酸化チタンを接合させ、太陽光露光を行うことで、空気中の窒素が窒素化合物(具体的にはNH4+ ClO4-  とNH3 で、それぞれ固体ロケット推進剤、肥料などの化学物質の元になる)として固定されることを発見されたお話がありました。この発見にも男子大学院生の偶発的な事象が大いに貢献したとのことでした。

また、星野先生の研究グループの画期的かつ夢のある研究成果が、チバテレビ、日経新聞、英国Nature Web、英国新聞Guardian、米国Chemical & Engineering Newsなどに取り上げられ、世界中で関心を集めている研究であることも納得した次第です。

自由討論の時間には、最先端の研究ゆえの答えにくい質問も飛び出し、星野先生が苦慮された場面もありましたが、非常に短い時間の中で、我々人類の未来を左右する大変重要な研究についてお話をいただき、有意義な時間を過ごすことができました。

記・企画委員会委員 正道寺 勉(日本工業大学)


次回(第16回)は、10月12日(金)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。