第20回  イメージングカフェ  レポート  


    【ご参考】第20回募集案内

2013年3月8日(金) 18:30より恵比寿カルフールにて第20回イメージングカフェを開催致しました。 (参加者21名:委員、講師含む

今回は、幾多の困難を乗り越えて帰還した小惑星探査機「はやぶさ」に関わる、日常を離れた壮大な宇宙における画像技術のお話です。講師として日本電気株式会社 宇宙システム事業部の丸家誠様をお招きして、「探査機・人工衛星で撮影された画像がユーザに届くまで −「はやぶさ」を支えた画像処理技術−」というタイトルで講演をいただきました。

地球周回軌道を取る人工衛星で撮影される地球の画像は、気象、植生、資源、環境などの情報を提供し、我々に身近な存在として目にする機会も多くなってきました。一方、月やそれより遠い天体を調べる探査機では、どのように画像技術が活躍しているのか、全く想像もつかない世界です。技術のみならず科学的な興味でも惹かれて、参加者は一言も聞き逃すまいと時間を忘れて聞き入り、充実した時を楽しむことができました。

小惑星「イトカワ」に向けて地球を飛び立った探査機「はやぶさ」が、「イトカワ」に近づくにつれて、最初は点でしかなかった画像が徐々に形をなしてきた緊迫感は、聞いていてもわくわくしてきました。この「はやぶさ」のミッションは「イトカワ」にタッチダウンして、小惑星から直接試料を採取して地球に持ち帰るという壮大なものでした。その中で、講師が率いた画像処理チームのミッションは、「イトカワ」の正確な3次元形状モデル(グローバルマッピング)を作成し、探査機制御を行う航法誘導チームに提供するというものでした。事前の情報が殆どない中で、思った以上にいびつな形をした「イトカワ」へのタッチダウンポイントを決定するための形状構築は、多くの制約の中で行わなければなりませんでした。探査機は基本的に太陽電池パネルを太陽に向けていなければならないため、「イトカワ」に対するカメラの位置は大きく制限されます。また、照明は太陽光のみであり、撮影タイミングや回数も自由にはなりません。

最初に行われた作業は、イトカワの表面にある特徴点を選び、それが画像のどの位置にあるかを人間が手作業で指定するというものでした。情報が無く、限られた期間内にミッションを完了するには、このような手作業も必要なのだと、妙に感心しました。そして、3か月に亘る調査期間内で、画像チームのミッションは無事に完了し、2度のタッチダウンを支えることができました。

探査機「はやぶさ」の話の他に、人工衛星によるリモートセンシングについても話を聞かせて頂きました。最新の人工衛星は、高度700kmを秒速7kmで航行中に地上を0.5mの分解能で撮影ができるそうです。撮像センサーは1次元アレイで、衛星が移動しながら文書スキャナーのように、地上を走査しますが、流し撮りは技術的に難しいとのこと。そのため、高感度のセンサーが必要であること、ラインセンサーを複数並べたTDIセンサーが利用されることを説明されました。

丸家様のお仕事は同じ画像を扱う仕事でありながらもこれまでは日本画像学会との関わりは有りませんでしたが、今後は画像処理に関する共通領域で協力しあえれば素晴らしいことです。早速、講師からは185波長バンドのハイパースペクトルセンサーの画像処理のテーマを提案いただきました。日本画像学会の画像処理専門家の方で、どなたか取り組んでみてはいかがでしょうか。

記・企画委員 酒井真理(東京大学) 


次回(第21回)は、4月19日(金)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。