| 第21回 イメージングカフェ レポート |
2013年4月19日(金) 18:30より東京工業大学蔵前会館にて第21回イメージングカフェを開催致しました。 (参加者31名:委員、講師含む)
今回は講師として、インクジェットの種々の応用に向けた研究開発機器の製造およびインクジェット技術支援を行っている、株式会社マイクロジェット代表取締役の山口修一様をお招きして、「インクジェット新時代がきた!− インクジェットで起業したエンジニアからのメッセージ −」というタイトルで講演をいただきました。
山口さんは、セイコーエプソンに入社以来30年間、一貫してインクジェットの製品開発に取り組んで来ました。その間、インクジェットプリンタの初期の製品群からマッハジェットの一連の技術の確立と製品化、社内ベンチャーでのインクジェット新ビジネスの創出、そして16年前に今日のインクジェットの産業応用の発展を見通し、インクジェットの研究開発をサポートする株式会社マイクロジェットを設立して、インクジェット技術の発展に大きく貢献をしてきました。
話の前半でインクジェット応用の広がりと可能性の紹介、その一方でのインクジェット技術の複雑さ生む技術立ち上げの困難さが紹介されました。
現在、ものづくりの変革を見据えて、一部上場の200社以上がインクジェットの研究に取り組んでいるそうです。しかし、1,000を超えるインクジェットに関わるパラメーターを最適化して、実用的な技術にすることは極めて困難で、特にインク特性の理解とインク液材の開発無くしてインクジェットをものにすることは出来ません。そのため、開発の難易度を見極め、IJ化で得られる付加価値がそれを凌駕する大きさを持つのか、見極める必要が有ります。開発の成功率を高めるには、自社で行う部分と他社に頼むところを明確にし、中長期の開発スタンスで臨み、最初から大きな旗は揚げないことが肝要だそうです。後半は、学生時代から今日までのインクジェットに係わる半生を、特にベンチャーを起業する上での心得を中心に、ユーモアを交えて語っていただきました。
インクジェットを製品化するも、なかなかインクジェットの本質が見えず、膨大な時間とお金を注ぎ込んだ失敗による経験が、不可能な事へのチャレンジ精神を醸成したようです。マッハジェットの成功に満足しそこに留まることをせず、社内ベンチャー制度を利用してインクジェット産業応用の可能性を見出し、その事業を実現すべくマイクロジェット社を設立しました。「課題にぶつかり、それに立ち向かっている時に成長する」を実践し、常に新しい技術に取り組んできた実経験の話は、起業を志す者だけでなく若手技術者にとっても、開発に取り組む大事な気構えを教えて頂きました。
現在、山口さんは、更なるインクジェット技術の普及に向けた活動を構想し、多忙な経営の傍らでこの春に博士号を取得し、新たな一歩を進み始めました。
21世紀の新しい産業技術創生のために、日本画像学会に所属する私たちも力を結集していきたいと思います。記・企画委員 酒井真理(東京大学)
次回(第22回)は、5月17日(金)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。