| 第25回 イメージングカフェ レポート |
2013年9月27日(金) 18:30より恵比寿カルフールにて第25回イメージングカフェが開催されました。 (参加者23名:委員、講師含む)
今回は講師として、静岡大学イノベーション社会連携推進機構・特任教授の下平美文先生をお招きして、「ようやくカメラがヒトの眼になった 〜RGBを越える視覚全色域3バンド撮像技術の研究〜」というタイトルで講演をいただきました。
下平先生は、静岡大学工学部をご卒業以来、一貫してディスプレイの画質やヒトの視覚に関する研究、カメラからディスプレイまで統一した色再現に関する研究にあたられてきました。
講演の前半では、タイトルの主題となっているヒトの視覚特性に準じた撮像方式の研究からカメラの実現までのお話が紹介されました。
現在、流通しているRGBの3バンドカメラとRGBディスプレイのシステムでは、大きな色の不一致が避けられない。色域の範囲はいくつも定義(sRGBやadobeRGBなど)されているが、各社、機器毎に特性がばらばら。それなら、ヒトの視覚特性にあったXYZ色空間で撮像しよう…という着想でXYZ等色関数と等価な撮像を目指し、大田登氏(富士フイルム〜ロチェスター工科大)の3バンドフィルタの論文にたどり着いたとのこと。このフィルタ、S1とS2が近接していることからノイズに弱く、大田氏自身はこれを実用的に使うことをせず特許もとっていなかったとおっしゃっていたそうです。
下平先生たちはこのフィルタの製作に成功し、カメラメーカーと協力し実用化。このXYZカメラを使うことで、sRGBカメラより広く被写体の色情報を捕らえられることが立証されました。XYZのようなデバイス非依存の色空間情報で画像データを流通させることにより、色管理の忠実性や利便性が向上することは間違いありません。とはいえ、現状のデファクトスタンダードや、Microsoft、AppleといったPC/OSの提供者、放送関係、といった各社の思惑が交錯する世界で普及させることは簡単ではありません。しかし例えば、画像を使った遠隔医療、化粧品、通信販売などの用途には適していると考えられます。
後半では、ディスプレイに要求される再現色域として、HDTV規格の色域外の色のみを色域境界に圧縮(クリッピング)しても、画質が許容レベルであることなどが紹介されました。
まとめとして、等色関数に等価な撮像、出力側の線形性、モニタ(出力機器)の再現色域の確認、が重要と述べられました。これらを伺うと、プリンタを含めた出力機器側で、適切なGamut圧縮が課題であろうと思われます。
記・企画委員 石井 昭(富士ゼロックス)
次回(第26回)は、11月8日(金)に恵比寿カルフールにて開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。