第29回  イメージングカフェ  レポート  

2014年3月14日(金)18:30より、恵比寿カルフールにて第29回イメージングカフェを開催しました(参加者23講師・委員含む)。

今回は講師として、三菱製紙株式会社 洋紙事業部の木村篤樹様をお招きして、「デジタルプリントメディアの現状と可能性 〜産業用インクジェット紙の実力と将来性〜」というタイトルで講演いただきました。

2008年のDrupa以降、ラインヘッドを採用した産業用インクジェットプリンタが注目を集め、デジタル印刷の中核技術として印刷産業に変革をもたらすと期待されています。今回の講演では、産業用インクジェット紙SWORD iJETの開発背景と市場評価を基に、インクジェット紙の観点からこの産業用インクジェットの現状を理解し、将来性を議論しました。

新しい印刷方式の発展には専用紙が必要となります。オフセット印刷の置き換えを狙うインクジェット対応の専用紙では、インクの吸水性と定着性の両立という従来のインクジェット紙の要求特性に加え、生産性(価格)、後加工適性、紙質感など、印刷物としての実用性・耐久性も求められます。
このような要求に応えた産業用インクジェット紙としては、オフセット紙にインクジェット適性を付与する基本設計として、非塗工紙にサイジング工程でインク定着剤による表面処理を施すトリート紙と、インク受容層を設けるインクジェット塗工紙との二つのタイプが上市されています。SWORD iJETの開発では、インクジェット塗工紙としてオフセット用紙の顔料をインクジェット用に最適化した素材の開発と生産技術の開発とを併せて行うことで、市場の要求に応えた専用紙を作り上げました。

最新デジタル印刷市場の地域特徴として、北米は急成長するも市場は依然小さく、欧州は市場が冷え込むという状況の一方で、豪州の意外と大きい規模や国内でのダイレクトメールへの需要高など成長が期待されています。新聞や文庫(講談社)のインクジェット生産が始まるなど、オフセット印刷からインクジェットへの転換は明らかに進行しています。
2050年にはインクジェットがオフセットを凌駕すると将来予測される中、インクジェットプリンタのハード技術の発展だけでなく、産業用インクジェット用紙の開発も非常に重要であることを認識できました。

記・企画委員 酒井真理(東京大学)