第38回  イメージングカフェ  レポート

2015年2月6日(金) 18:30より恵比寿カルフールにて第38回イメージングカフェを開催いたしました。(参加者28名:委員、講師含む

今回は講師として、株式会社NTTデータ経営研究所の小俣貴宣様をお招きして、「心理学の視点から捉える“画像”」というタイトルで講演いただきました。

小俣氏は認知・行動科学の専門家として、企業のデザイン部門で人間中心の製品開発に取り組み、海外留学を含め大学で更に研究を深めてきました。実験心理学を含めた心理学がなぜか大学では文系に含められ、科学的方法論に基づいた専門性がキャリアパスの中で活躍の場が定まっていないという不遇にあるということです。
そのような状況にある一方で、製品開発では人間中心のデザインが強く求められてきています。食べ物が大きく見えるような錯視が満腹感を高めること、パッケージや香りが味覚に影響すること、人が何かを成し遂げた様子を表す画像が潜在的知覚としてパフォーマンスに影響するなど、無意識過程を利用した行動制御をビジネスに活かす多くの心理学的事例を紹介していただきました。
近年話題になっているUXデザイン(User Experience Design)のように「製品・サービス」ではなくユーザーに「経験」や「体験」を提供するという志向では、人の知覚・認知特性を考慮した開発が必要だそうです。物理や化学的な要因に対して、人を挟むと、受け取る側の特性や状態が大きく影響し、そこに心理学的方法論が重要な役割を果たすわけです。

講演を通じて、物に帰属する質と心の中にある質感というように、質と質感の間にある心理学的作用を考慮した製品・サービス開発の必要性を認識することができました。また一方で、心理学的知見に基づいた要求仕様を設計に落とし込むところに断絶が有り、そこを乗り越えるための心理学人材を経営資源として活用していくことが重要であることを学びました。小俣氏は、心理学の産業応用と心理学人材の活躍機会の創出を目指し、活動をされています。その志を十分に感じた講演でした。

記・企画委員 酒井真理(東京大学)


次回(第39回)は、3月13日(金)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。