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第55回 イメージングカフェ レポート |
2016年10月21日(金)18時30分から恵比寿カルフールにて第55回イメージングカフェを開催しました。今回は、「色彩の基礎と測定 〜物体色知覚のしくみから測色計の原理まで〜」と題して、コニカミノルタジャパン株式会社 センシング事業部 営業部 東京営業所所長の渡辺 浩二氏をお迎えし、「色」に関わる基礎をわかりやすく解説していただきました。参加者は22名(講師、委員含め)でした。
色の見えかたは、光源、物体、視覚の三要素で決まり、物体に対して光源、方向、大きさ、背景、観察者、記憶がその見え方に影響します。同じ色でも「色の面積効果」によって面積が広い方が明るく見えるため、例えば自動車のボディ色を色見本で決める時などに影響します。また「色の対比効果」によって、背景色が違うと明度などが違って見えてしまいます。また、ヒトの眼の感度には個人差があり、加齢により青がくすんで見えるなど、とても複雑です。
色の数値化では、マンセル表色系から色度図、色差の変遷を振り返りました。明度、色相、彩度によるマンセル値は、慣用色名と系統色名が対応付けられているため、色の指定には便利である一方、色差が伝えられないため色の管理には不向きでした。そこで、所定のRGBの3原色を規定し、可視光のそれぞれの単色光について観察者が同じ色と認識するRGBの強度比の組み合わせを求める実験(等色実験)からRGB表色系がつくられました。さらにそれを発展させ、ヒトが持つ色に応答する3つの錐体細胞(L, M, S)に対応させたXYZの三刺激値とYxy表色系が制定されました。しかし、xy色度図上では2点間の距離と目視感が一致しないことがMacAdamによって色識別楕円として示されました。そこで、色空間での距離がヒトの色識別の感覚と合致することを目指し、均等色空間としてL*a*b*色空間が提案され、その空間での2点間距離として色差式ΔE*ab(CIE1976)が定義されました。その後、より目視の識別能力に近づけたΔE94(CIE1994)、ΔE00(CIE2000)へと進化してきています。
講演の最後には測色計の原理が説明されました。ヒトの眼の視感度(刺激値)に対応した分光感度を持つセンサーで読み取る刺激値直接方法と、10nmの波長ピッチで光を分光スペクトルとして測定し計算によって測色値を求める分光測色方法の二つの測色方法があり、また、測定器の照明・受光光学系では、単方向照明方式と拡散照明方式があるということで、それぞれの特徴と用途などについて詳しく説明いただきました。
ディスカッションでは、視覚というヒトの感覚が介在するため、個人差や非線形性などに対して色の数値化がどうあるべきなのかの議論がされ、色の知覚という科学的な側面と、CIE規格を色の管理に用いる工学的な側面のそれぞれの取り組みについても意見が交わされました。色に関する議論で、私たちが普段何気なく使っているL*a*b*やΔE*abなど色の数値化の定義や測色計の原理を、基礎に立ち返り十分に理解することができました。
記・企画委員 酒井真理(東京大学)
次回(第56回)は年末スペシャルとして12月21日(水)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。