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第62回 イメージングカフェサマーSP レポート |
2017年8月4日(金)15時00分から、東京工業大学(大岡山) 蔵前会館 3F 手島精一記念会議室にて第62回イメージングカフェ サマースペシャルを開催しました。今回は、富士ゼロックス(株) 藤井 雅彦氏がファシリテーターを務め、「技術論から語る電子写真とインクジェットの未来」というタイトルで、従来のオフィスやコンシューマの市場から様々な新しい市場へ展開しようとしている、電子写真(EP)とインクジェット(IJ)分野のそれぞれの話題について、参加者の皆さんとの双方向の技術論的な議論を行いました。参加者は44名(講師、委員含め)でした。
冒頭に、藤井氏から、ICJ2016 Workshop3の議論の振り返りがあり、多くの人が議論に加わることが技術を論じるときには大事であるというお話がありました。
始めに、“市場で今起きていること”をテーマにした議論が行われました。用紙のジャムについて、「IJでは用紙とインクジェットプリントヘッドの隙間が狭いので、紙が反っていると接触してしまう」、一方EPでは、「静電気の影響で用紙が機内に張り付いてしまう」という課題などが挙げられました。EPはIJと比べてコンパクトになっている反面、機内が密集しているため、ジャム処理が難しくなる点などの話がありました。他にも、IJについては多様なインクとメディア媒体の組み合わせがある点や、中小企業では紙の消費にむしろ増加傾向がみられる、などの話題提供がありました。
また、「EPでは何故今MBD(Model Based Development:モデルベース開発)の取り組みが話題なのか?」、との問いに対し、「EPでは安定性向上を図るために、すり合わせ設計が必要で多くの試行錯誤が行われている。すり合わせを効率化するためにMBDや品質工学を利用している。」というお話がありました。さらに、「技術開発をやめたら消費者が困ることは何か?」、「カタログのスペックで何が優れていれば他社のシェアが取れるのか?」といったビジネス思考の議論もありました。次に、“市場で今起きかけていること”をテーマにした議論が行われました。「市場では本当にオフセットの画質が求められているのか?」という疑問に対して、色々な意見がありました。現在はWeb-to-PrintのB2Cが広がっており、その代表となるフォトブックの市場では、画質に関するクレームはかなり減ってきているという指摘がありました。一方で、日本は特殊な市場という点を考慮しても、印刷業のお客様からのカラーマネジメントのクレームが継続的にあるそうです。デジタル印刷はオフセット印刷の画質でコンペティターになるのではなく、低コスト少数印刷の利点を活かして、地方新聞やWeb広告の代替などのビジネスに力をいれる方が良いのではないかという意見もありました。それとは逆に、EPはパッケージやラベル印刷の需要が高まっているため、さらに高い画質が求められているという意見もありました。
最後に、“この先、起こるかもしれないこと”をテーマにした議論が行われました。「3Dプリンタの潜在能力をいかせば、まだまだ新しい領域に行けるのではないか」、「これまでのIJとEPの技術を再定義することで、既存のことから新しいことが出来ないか」、一方、「色材は紛体と液体、印刷には版を使うか飛ばすという限られたプロセスの組み合わせしかないので、大抵の作像技術開発はやりつくされており、もはや後処理のプロセスしか技術開発の可能性はないのではないか」、など様々な意見がありました。
今回のように、幅広い分野の人が会社の枠を超えて同じテーマを議論していくことで業界が活性化し、新しい潮流のきっかけを生むことが期待されます。
記・企画委員 近藤芳昭(コニカミノルタ)
次回(第63回)は9月13日(水)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。