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第65回 イメージングカフェ レポート |
2018年2月14日(水)、東京工業大学 大岡山 蔵前会館にて第65回イメージングカフェを開催しました。参加者は25名(講師、企画委員含む)でした。今回は、株式会社フォトロン イメージング事業本部 桑原譲二氏と、東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻 特任准教授 井上智博先生をお招きして、
高速度カメラの世界:技術動向と驚きの未体験映像 高速撮影で見えた400年の謎:線香花火の火花はなぜ枝分かれするの?と二本立てでご講演いただきました。
前半の桑原氏の講演では、初めに高速度撮影の歴史から現在の高速度カメラ技術までを分かりやすく紹介いただきました。
現在は、撮像から記録までを半導体デバイスで行えるようになったため、フイルム記録に対して撮像速度の向上だけでなく、その場で確認できる、エンドレス記録でトリガ前の状態を記録できる、などの点が多くの研究に役立っているそうです。実際に高速度カメラで撮影した幾つもの事例(溶接、破壊、燃焼など)を映像で紹介いただきました。
更なる高速化要求に対して、撮像素子と記録素子の一体化で1,000万コマ/秒の素子も実用化され始めているとのことです。また、一コマあたりの露光量が小さくなるので、裏面照射タイプによる撮像素子の高感度化や、大容量データのアクセス速度の向上など、まだまだ発展し続ける世界のようです。井上先生のご専門はロケットエンジンの燃焼研究ですが、2012年に燃焼研究のためにフォトロン様から借用した高速度カメラで事例として線香花火を撮影したところ、枝分かれ現象を見事に捕らえることができ、なぜ火花がでるのか、なぜ枝分かれするのか、これらの疑問を科学的に解明するチャレンジが始まったそうです。
講演では、これまで撮影した線香花火の画像に物理モデルを交えながら、次のようなプロセスを解説していただきました。
線香花火には約0.1gの黒色火薬(硝石:KNO3,炭素:C,硫黄:Sの混合物)が使われ、燃焼している火球では溶融したK2S、K2CO3、K2SO4が熱対流している。このとき内部の炭素が継続的に外部の酸素と結合(酸化)することで発熱が続く。線香花火の発色は1100K〜1300Kの黒体輻射。 火花の発生は、火球の発熱で生じたガスの気泡の破裂で飛び散るのではなく、気泡の割れたクラウン状の縁が表面張力で収縮するその反動で液滴が飛翔することを発見。飛翔した液滴は比表面積が大きくなることで酸化が促進され昇温し、さらに破裂して連鎖的な火花になる、といった連鎖的液滴分裂現象が生じている。 最初に火球から飛び出す液滴は直径約0.1mm(初速約1m/sec)。8回ほどの分裂で直径が0.001mmほどになると放熱が上回り火花は終わる。火球や液滴のサイズ、飛翔距離などについては、観測値と物理モデルの整合が取れたようですが、内部ガスの成分や発生メカニズムについては、まだ未解明な点が残されているそうです。
身近な線香花火ですが、そのメカニズムはよくわかっていなかったこと、それに好奇心をもって解明に取り組んだ井上先生の熱意に感銘した講演でした。
記・企画委員 石井 昭(富士ゼロックス)
次回(第66回)は3月16日(金)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。