第66回 イメージングカフェ  レポート


2018年3月16日(金) 15時より、東京工業大学 大岡山 蔵前会館にて第66回イメージングカフェを開催しました。今回は、東京工業大学名誉教授 半那純一先生をお招きして「20年後の情報技術と材料 〜大学研究者の独り事〜」というタイトルでご講演いただきました。

15時〜17時の第一部(ご講演)に続き、第二部では会場を移し、ドリンク片手に懇親を深めつつ、更に活発な討論が行われました。参加者は22名(講師、企画委員含む)でした。

第一部では、20年前から現在までに情報技術と材料がどう変遷してきたか、の観点で先生の過去の研究内容を紹介いただきながら、そこで感じたこと、特に重要に思えたことなどについて語っていただきました。

先生の当初の研究は有機光伝導性薄膜を扱うものでしたが、その過程で、実用化のためには研究の出口側がちゃんと検討されている必要があることを強く感じられたそうです。そのようなお考えから、次の時代に何が必要とされるのかを最初にしっかり検討されたうえで、次の研究内容を選定されてきたとのことでした。
当時は情報の電子化が急速に進んでいたことから、大面積かつ高品質な半導体薄膜を均一に作製する技術の必要性を予見し、反応性CVD法と呼ばれる薄膜形成の研究に携わられました。しかし、この研究もリーマンショックや企業側の理由から実用化には至らず、良い物ができても企業を取り巻く環境に影響されて次に進むことができない現実を目の当たりにされ、技術開発の難しさを痛感されたそうです。
今現在も取り組まれている液晶性有機半導体の開発では、液晶は液体に近いが分子の配置が結晶ライクになるという点がアモルファスと対極に位置することを見いだされ、アモルファスが実用化できるなら液晶もできるはず、という強い思いを持たれて開発を始められました。更にこの開発では、液晶相における不純物の影響を調べた実験から、研究の初期段階で原理を理解することができたため、以後の研究を安心して進める事ができたそうです。

その後のお話では、オープンイノベーションに対する課題や、日米での文化の違いを背景とした企業の姿勢の違いなど、企業と大学の関係のあり方についての懸念などが語られました。また、これらの話をきっかけとして、質疑応答では技術を進めるにあたってのリーダーシップのあり方や、組織と自由の関係についてまで踏み込んだ議論がなされ、大いに盛り上がりました。

一連のお話を通じて、技術によって世の中の役に立ちたいという先生の強い思いと、そのために技術の出口をしっかりと考えることの重要性がひしひしと伝わってくる、大変印象深いご講演でした。

記・企画委員 中井 洋志(リコー)


次回(第67回)は4月20日(金)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。