第69回 イメージングカフェ  レポート


2018年7月6日(金)、東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター(田町)にて第69回イメージングカフェを開催しました。東洋製罐株式会社 テクニカルセンターの山田 幸司 様をお迎えし、「包装容器のお話 〜容器はどうやって作られているのか〜」のタイトルでお話いただきました。参加者は39名(講師・委員含む)でした。

飲料ジャンルの多様化や飲食シーンの変化により容器自体も様々な形態に変化しており、商品価値を購買者に伝えるため、容器外観(加飾)が重要なポイントとなっているそうです。今回、意外と知られていない飲料缶やPETボトルの種類や製造方法および、金属缶に用いられている印刷技術や加飾方法についてお話をしていただきました。

まず、包装容器の始まりについてご説明がありました。5000年以上前には既に金属が器として使用されていましたが、缶詰法が考案されたのは19世紀初頭で、1789年のフランス革命時代にナポレオンが大量の食糧の貯蔵方法として募集し、それに応えて発明されたのだそうです。

次に、金属缶の分類、製造方法、加飾方法についてご説明がありました。金属缶には3ピース缶(缶胴、天蓋、底蓋)と2ピース缶(缶胴と天蓋)があります。3ピース缶の缶胴部は、缶の大きさに切断された金属シートを丸め、その両端を溶接して円筒状に成形します。2ピース缶の缶胴部は、プレスにより底と一体化して成形されます。
3ピース缶は金属シートの状態で通常のオフセット印刷機などで印刷してから筒にしますが、2ピース缶は成形後の円筒の状態で専用の特殊な印刷機で印刷されます。印刷方式は樹脂凸版や平版印刷が主に使われているそうです。インキは、主に油性インキやUVインキを使用しているとのことです。金属缶への印刷の線速度は540m/分もの高速で、IJなど印刷のデジタル化には、印刷速度とインキコストが大きな課題だそうです。

また、従来の2ピース缶の成形の工程ではクーラント(潤滑・冷却剤)というオイルを使用するため、成形後の洗浄で大量の水が必要となっていましたが、東洋製罐は予めポリエステルフィルムを内外面にラミネートした鋼板材を使用し、さらに成形を工夫することによりクーラントを不要にしたTULC(Toyo Ultimate Can)という技術を開発し採用しているそうです。大量の水を使わず廃水処理も不要となり、環境保全性を飛躍的に高めたとのことでした。

また、PETボトルの製造方法についても説明がありました。プリフォームと呼ばれる口部のついた試験管状のものを射出成形で作り、さらにそのプリフォームを加熱しながら空気を吹き込み膨らますブロー成形で作られます。充填する中身に合わせ、耐圧/耐熱/耐熱圧/アセプティック(無菌充填)など口部や底形状を変えて機能性を持たせているとのことで、細かな工夫がなされていることが分かりました。

最後に材料や形状加工による加飾技術について紹介がありました。材料では一例として、発泡インキ、温度により色が可逆的に変化する示温インキ、特殊パールインキ、ニス(マット、縮み)、ガラスフレークなどが、形状加工では、エンボス、ビード、パネルフォームド、パスカル、エクスパンジョンなどがあり、アイキャッチ効果を有する高い加飾が多くなされていることに大変驚きました。
今後は、多品種・小ロット化にどのように対応していくかが課題となっているようです。

とても身近な金属缶やPETボトルですが、製造・加飾技術は多様な要求に応えて様々で緻密な技術が施されており、非常に高い技術を伴っていることが認識できた大変貴重なご講演でした。

記・企画委員 名越 応昇(三菱製紙)


次回(第70回)は8月3日(金)に開催予定です。詳しくは開催案内をご覧ください。