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第90回 イメージングカフェ レポート |
2021年9月17日(金) 19:00より、オンラインにて第90回イメージングカフェを開催しました。 (参加者30名 ※委員・講師含む)
今回は「インクジェットものづくりとSDGsの交差点 〜“金にならない”ESG対応技術はどうやって推進するのか〜」とのタイトルで、エレファンテック株式会社共同創業取締役副社長の杉本雅明様にご講演いただきました。(https://www.elephantech.co.jp/ )2014年に設立されたエレファンテックは、インクジェットを用いた印刷技術による電子基板製造を世界で初めて実用化しました。
お話ではまず最初に、ベンチャー企業ならではの資金調達や様々な要素技術を最適化して生産技術を立ち上げていく様々な苦労話から、最近の開発例として短納期で開発された曲面モニター向けのフレキシブルプリント基板の紹介などがされました。
エレファンテックの基板製造技術(ピュアアディティブ法)の特徴の一つとして、大量の廃液が出る従来のプロセス(エッチング/サブトラクティブ法)に比べ環境負荷が大幅に少なくSDGsへの貢献も期待されることなど、企業としてのESGへの取り組みについて各種調査資料なども踏まえながらご自身の経験談などを語っていただきました。
日本の多くの部品メーカー(B2B企業)では、納期、コストや性能が優先で、“SDGs対応は必要だとは思うが金にならない”という意識がまだまだあります。しかし世の中は変わりつつあり、エンドユーザーである一般消費者やコンシューマー商品メーカーからの要求、あるいは上場企業への機関投資家からの評価の目が企業の考え方を変えていっているとのお話でした。
ダボス会議での各国の意識調査の紹介があり、日本については “環境よりも経済を優先する意識が強い”、また “環境に関する科学者の言葉をあまり信じない” など環境に対して後ろ向きな姿勢が強いのだそうです。一方で、日本はTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosure:気候変動に関する経営上の対策を開示すること)に賛同する企業数が多いという事実もあり、日本では自発的な判断は苦手だが、他所がやっているのならうちもやってみようなどのきっかけで関心が高まってきており、環境対策も含め様々なリスクを経営層が意識し始めているのではないかとのお話がありました。
ESGへの取り組みの例として、iPhoneで急激に世界的メーカーになったApple社やテキスタイル分野でのPatagonia社が自社サイトで自社製品が地球環境にどのような影響を及ぼしているのかを掲示している例、そして杉本さんも参加された白馬村での高校生を中心としたSDGsへの取り組みなどいろいろな事例をお話しいただきました。
最後に杉本さんはビジネスを展開する上で重要なこととして2点挙げられました。
1点目は、技術者はニーズが有るところに行って技術で応えていくこと。2点目は、プロセス全体をしっかり見回し、製品にどのような原材料が使用され廃棄されているのかを把握するトレーサビリティを確立すること、とのことです。その観点でインクジェット技術や印刷技術はプロセスが短いのでトレースしやすいというメリットも大きい、と述べられました。ご講演の後の質疑や情報交換会でもエレファンテックの起業の経緯からSDGsに関する様々な質問や意見など多岐にわたり活発な意見交換がなされました。
記・企画委員 森下浩延(出光興産)
次回(第91回)12月3日(金)は毎年恒例の年末スペシャルです。詳しくは開催案内をご覧ください。