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第98回 イメージングカフェ レポート |
2023年6月8日(木) 15時よりミマキエンジニアリング JPデモセンター特別見学会を開催しました。コロナ後初、3年半振りのリアル開催のイメージングカフェでした。そのためか注目度は非常に高く、募集開始後わずか28時間で20名の募集枠がいっぱいになるほどでした。また約半数が日本画像学会外からの申込みでした(参加者26名 ※委員・講師含む)。
見学会はまず、プロモーション担当の原田智充氏から本日見学予定の
➀次世代ウェアプリント技術DTF(Direct-to-film)
➁等身大3Dスキャナ・フルカラー3Dプリンター
➂高速フラットベッドカッティングプロッター
➃UVプリントを用いたSO-KENのトリックプリント技術
に関する紹介があり、各装置の見学に移りました。次世代ウェアプリント技術・DTF(Direct-to-film)による制作実演
従来の生地へのデジタルプリントではコットンはDTG(Direct-to-Garment)、化繊に関しては昇華転写やラバー転写が使われていたものを、DTFでならば全てをカバー可能とのことです。版が不要で前処理不要、後工程のラバーのカス取作業も不要という特徴があります。
工程はまず専用の転写フィルム上に厚み方向の上下を逆転した画像を印刷し、乾燥前にホットメルトパウダーを振り掛け、110℃で7分間加熱。そしてTシャツと転写フィルムを重ねて熱プレスを掛けて画像をTシャツに転写します。転写フィルムの再利用は推奨していないそうです。濃い色のTシャツの上でも発色よくプリントできていて洗濯耐性も高いとの事です。発色をよくする裏白を画像全面に施すため8つのプリントヘッドチャネルのうち4つは白用との事でした。また、インク循環機構はダンパー内の圧力を維持する機構を搭載して安定化を図っているとの事でした。(DTFプリンター)等身大3Dスキャナ・フルカラー3Dプリンターによる高精細フィギュアの世界
等身大3Dスキャナは円筒状に配置された84個のカメラで同時撮影し3Dデータを生成するもので、撮影時間は一瞬で、3Dデータ化は使用するPCの能力に依存しますが20分程度でできるそうです。カメラの配置は標準では人の立ち姿に合わせてあるので手を大きく左右に広げたりしゃがんだりするとデータが欠けたり精度が低下するのでその場合はカメラ配置を調整すればよいとの事です。鉄道のジオラマ模型用にもすでに使われており1/87サイズが標準で用いられているそうです。
出力に使われるフルカラー3Dプリンターは透明度の高いクリアインクが使え14万色を再現可能との事。芯材となる造形材は発色性を重視して白色、サポート剤は水溶性(廃液処理が必要)、1層当たり4パスで作成するため、50cm角×高さ30cmの最大サイズの造形には5日間が必要との事です。造形時間は造形高さに主に依存するため造形物をソフトウェアで回転させ造形高さが低くなるよう配置するのがコツだそうです。サポート材を外した像表面はザラザラのためトップコートを使用、これにより、発色と透明度が改善するそうです。Designed in Japanの高速フラットベッドカッティングプロッター
納入後でもテーブルサイズの拡張が5mまで可能で、振動カッターによりXY方向は毎秒70cm、XY両軸45度駆動で毎秒100cmと高速でカッティング可能。またVカットに対応しカット後のハニカムボードの立体的な組み立てが容易になるとの事です。また位置決めのトンボの位置を記憶する機能によりボードを裏返しても加工可能との事。ヘッドにはミリングルーターやドリルが同時搭載可能で、様々なハニカムボード加工に対応との事です。カッティングプロッターは日本より海外、特にニュージーランドやオーストラリアで人気との事で、弊社(FFBI)でも取り扱っているとの事ですが知りませんでした。Mimaki ×SO-KENのトリックプリント技術
SO-KENとの共同開発で、ミマキのUVプリンターを使うことで3種のトリックプリントが可能との事です。
Flash Printは、ベースとなる再帰反射シート上にストライプ状に異なる2種の画像をプリントし、一方の画像は環境光でのみ見え、もう一方は強い光を視線方向から当てた時にのみ見えるようにしたものです。観察者がストロボ発光で写真を撮ったり、特定の光を当てた時に思わぬ絵が浮かび上がる驚きは既に様々なイベントで活用されています。
Relight Printは、表からの反射光の時とバックライトでの透過光で異なった画像が見えるものです。昼夜で異なる表示のできる看板や、クイズの問題とボタンで解答が表示されるパネルなどの他、バックライトの色を切り替えることでさらに視覚効果を上げることもできるそうです。
Bellows Printは、見る角度(左右・上下)を変えることで全く異なる画像が見えるものです。レンチキュラーレンズを使わず、UVプリンターによる積層プリントだけでできるので大判生産が容易で巻き取って運ぶこともできるので施工性にも優れてます。なかなか静止画では面白みは分からないと思いますが、実物を見ると新鮮な驚きがあります。
どれもUVプリンターにより膜厚方向の積層インクの構造を正確に制御することにより実現されています。今回紹介いただいた技術はどれも、ソフトウェアの技術によりオペレーターが難しく考えなくても操作可能となっている事に感心しました。最後に、ちょうどこの日ITMA2023に合わせてプレス発表があったミマキエンジニアリングが目指す、持続可能で循環型のテキスタイル産業への提案について技術的な説明がありました。テキスタイル産業の課題を、(1)染色工程で使用する大量の水、(2)産地と消費地が離れている事による輸送によるCO2排出、(3)年間の生産量の80%(9200万t)が廃棄されていること(うち14%はブランドによる未使用の過剰在庫)によると捉え、これに対し3つの新たな技術を開発しているとのことでした。
1つめは昇華転写の生産性を大きく向上できる高速かつ省スペースな昇華転写プリンター(2023年秋製品化)、2つめはどんな布種でも前処理なしに水も使わず高品質な捺染が高速にできる捺染顔料転写プリントシステム(2023年秋製品化)、そして3つめは昇華染料で染色されたポリエステルの布を真っ白な布に戻すことができる抜染技術「ネオクロマトプロセス」で、これらの技術で染色プロセスで使用される水の大幅な削減とテキスタイルの地産地消の促進と廃棄物の削減を目指すとのことでした。特別見学会終了後には参加者どうし実際に顔を合わせての3年半振りの情報交換会が開催され、皆さんテーブルを囲んで大いに盛り上がり有意義な時間を過ごされたようでした。
記・企画委員 森川 尚(富士フイルムBI)
次回(第99回)は8月4日に開催予定です。詳しくは改めてお知らせいたします。