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第99回 イメージングカフェ レポート |
2023年8月4日 15:00より第99回イメージングカフェ「イメージング技術のルネッサンス 〜イメージングの枠を超え、進化する技術はどんな未来を創るのか〜」を、リアル会場とオンラインのハイブリッドで開催しました。参加者は25名、うち現地参加者は14名でした(講師・委員・事務局含む)。
前半は、一般社団法人PODiの亀井雅彦氏をお迎えし、「印刷の過去・現在・未来 〜イメージングの温故知新:印刷技術の革新とは何だったのか?〜」と題してご講演いただき、後半は、イメージング技術の未来について、参加者全員でディスカッションしました。
【講演パート】
初めに、銀塩写真技術の歴史を取り上げ、その発展が“絵画”から“写真”への移行を促進し、その後、銀塩技術が一般に普及し写真市場が急成長した背景や、デジタル技術の登場による銀塩技術の衰退の経緯などについて詳しく述べられました。次に、絵画の世界に目を向け、ポール・ドラロッシュの言葉「今日を限りに絵画は死んだ」を引用し、カメラの発明が絵画の表現にどのような影響を与えたか、そして絵画が写真技術とどのように共存・進化してきたかについて考察されました。
さらに、グーテンベルグの印刷革命を取り上げ、活版印刷技術がもたらした情報流通の民主化による社会的・文化的な変化について概説されました。ただ、日本においては特殊で、活版印刷が16世紀に伝来したものの普及せず木版印刷が発展し、浮世絵や寺子屋の教科書といった独自のコンテンツが広く普及したその背景などについても説明されました。最後に、現代のデジタル時代における印刷技術の位置付けや将来的な展望について触れられ、デジタルマーケティングの勃興や商業印刷の衰退という現状を踏まえ、今後の印刷業界において大切なのは「価値あるコンテンツ」とは何かを明確に見極めることであり、技術もそれに応え進化していくべきであるとの見解が示されました。
この講演は、印刷技術の歴史とその社会的影響、そして未来への展望を深く掘り下げたもので、参加者に多くの洞察と示唆を提供しました。◾️講演を受けて
・価値観の変化
印刷されたものの価値について、過去には「みんなが持っているから価値がある」という共通の認識がありました。しかし、デジタル化が進行する今、新しい視点「みんなが持っていないからこそ価値がある」という意見が提示されました。
また、イメージング技術開発当初は、紙に自由に活字が打てること自体が夢だったため、紙の上に文字や絵を印刷すること自体に大きな価値があったが、普及した現在はそれが当たり前になり価値が下がってしまうのは必然であり、改良改善ばかりでなく常に新たな価値を探求しつづけなくてはならないとの見解がありました。【ディスカッションパート】
◾️印刷外の新しい市場に展開する技術について企画委員から下図が示され議論を始めました。
・技術進化と未来の期待
新しい技術の影響とその未来への期待も大きな議論のテーマとなりました。特に、3Dプリンターやインクジェット技術、電子写真技術の進化が、伝統的な印刷や製造業界にどのような変革をもたらすのか、そしてこれらの技術の更なる可能性について多くの意見が交わされました。例えば、インクジェットでは単位時間あたりに吐出できる液体の体積は意外に小さく非効率だが、電子写真の大粒径トナーを積み上げれば効率的な3D印刷が可能になるのでは…など、発想の転換が必要であるとの意見がありました。・未開拓の技術領域
電子写真技術の応用として、早稲田大学の川本教授の研究例が紹介されました。微細な粉体の移動技術を応用したソーラーパネルのクリーニングなど、まだまだ開拓の余地がある領域に関する興味深い提案が紹介されました。これらの提案からは、単に新しい技術を導入するだけでなく、それをどのように組み合わせ、既存の技術や価値観と融合させていくかが重要であるということが伺えました。
・今後の方向性
これからの時代は、AIの進化の影響もあり、コンテンツの価値観は大きく変わっていくでしょう。しかし、その中心には「人々が本当に求めるものは何か」というクエスチョンが常に存在することが強調されました。このような議論を通じて、未来志向の視点と、人々の真のニーズを追求する姿勢が、今後の技術やコンテンツの発展の鍵となるでしょう。
また、今後2年程度でイメージング業界が統合の方向で再編されていくと考えられるが、イメージング技術の応用検討は企業から大学に移っており、日本画像学会を支える企業は、小さく分割し、オープンに議論できるようになってほしいとの意見がありました。記:企画委員 上林 昭(東京都立産業技術大学院大学)
次回(第100回スペシャル)は企画中です。詳しくは改めてお知らせいたします。