第100回 イメージングカフェ レポート


  【ご参考】第100回募集案内

2024年4月19日(金) 15:30〜17:30に第100回目のイメージングカフェを開催しました。
開催はリアル会場とオンラインを組み合わせたハイブリッドで、参加者は22名、うち現地参加者は12名でした(講師・委員・事務局含む)

今回は講師として東京工芸大学 工学部 工学科 情報コース 画像・写真応用分野 教授の佐藤 利文様をお招きし「人のネットワークが組織をつくる 〜企業での研究と大学での研究、学会活動など〜」と題してご講演いただきました。

まず、大学の学生時代から企業での研究員を経て、大学教員となるまでの人の出会いと研究内容の変遷についてお話をいただきました。
お話の中ではキーワードとして『ことわらない』という言葉があげられました。勧めや依頼を敢えて『ことわらない』ことで、今までの仕事以外の新たな分野へ活動が広がったことをお話いただきました。

学生時代に研究された、金属に応力を加えた際に歪から生じる模様の研究「ストレッチャーストレインに関する研究」や「ジルコニアセラミックスの構造相転移に関する研究」についてお話がありました。さらに指導教授の勧めにより「超伝導の研究」へ研究分野を広げたこと。リアル会場そして海外での学会発表を通じてAT&T Bell Laboratoryを訪問し、現地の研究者と意見交換をしたことについてお話がありました。そしてさらには指導教授と企業との繋がりにより企業の研究所を見学する機会を得たこと、さらに企業側からのアプローチもあり松下電器産業(株)(現Panasonic)への入社に至ったことについてお話がありました。

次に、企業での研究員時代の、酸化物高温超伝導体や強誘電体などの結晶構造に多いペロブスカイトについて薄膜化を研究されたお話がありました。その中で京都大学化学研究所での超伝導薄膜の先駆的研究や地球環境産業技術研究機構(RITE)での強誘電体薄膜の研究について紹介がありました。
また松下電器産業・ディスプレイデバイス開発センターでの新規ディスプレイの研究開発に関する話もありました。そして企業での研究において特許が重要であることについてお話がありました。

最後に、アカデミアへの転職について
学生時代に後輩に対し研究を指導した自身の楽しい体験と、企業での研究経験がある大学教授との繋がりから、活動の場を東京工芸大学へ移すまでのお話がありました。
オンライン参加大学での研究としてはLCD用TFTの研究やCVDによるアモルファスSi膜の形成について研究の紹介がありました。また自身の研究室の立ち上げと分散型ELの研究についてもお話がありました。さらに研究と人との繋がりのなかで日本画像学会や印刷学会の理事就任依頼があり、承諾するか否かを迷い周囲の方に相談しつつも『ことわらない』という価値観のもと承諾に至ったことについてお話がありました。結果、「紙」についても研究対象として扱うようになったこと。また予期せぬテレビ出演などの仕事にも繋がっていったことについてお話がありました。

講演を受けてのディスカッションとして、プラズマや液晶や有機ELなどのディスプレイ技術の変遷と、印刷技術の変遷を比較する議論がありました。
一方、日本の18歳未満人口の減少や、大学工学部の女子学生比率の低さなどの社会問題に対して大学と企業の役割に関する議論などもありました。


さて、多くの皆さまにご参加いただき応援いただいてまいりましたイメージングカフェですが、今回第100回をもちまして終了させていただくことといたしました。
2011年2月からスタートし13年間。この間、モバイル端末の急速な普及や地震などの大災害、感染症パンデミックなどの影響等々で我々の技術や社会を取り巻く環境や働き方や価値観も大きく変わってきました。技術者のありたい姿や求めるものも大きく変わってきたように思います。
今こそ技術者・研究者の皆さんが本当にあってよかったと思える技術コミュニティの姿を改めて考え直すべき時なのかもしれません。そして新たな形でリスタートしてまた皆さんとお目にかかれればと思います。

まずは6/12〜14に開催のICJ2024で「イメージングカフェWorkshop」(*)を開催予定です。
これまでの総括と今後の在り方などについて自由にディスカッションできればと思います。参加無料ですので是非ご参加ください。(* 6/12 15:10〜、参加無料、要事前登録、このWorkshopのみの参加可)

記・企画委員 前坂 敏秀(理想科学工業)