日本画像学会 関西シンポジウム(2008)

『電子写真環境サミ』
 − 京都から次の世代へ向けて −

Abstract
講 師Abstract
谷 浩 
経済産業省
情報通信機器課
欧州・中国等の環境規制の概要及びその対応
 2007年6月にREACH規則が施行されました。EU域内で販売される全ての化学物質は、本年6月1日からの半年間に欧州化学品庁(ECHA)に登録する必要があります。また、EU域内の製造者や輸入者は、販売した製品への特定の化学物質の含有等について消費者から問い合わせがあった場合、45日以内に回答することが義務づけられます。
 REACH、RoHS、EuP等のEUの規制、中国「電子情報製品汚染防止管理弁法(中国版RoHS)」等の中国の規制、さらに、化審法の改正作業について最新の動向をお伝えするとともに、その対応についてご説明します。
望月 政嗣
京都工繊大
バイオプラスチックの最新動向と応用
 近年における地球的規模での温暖化ガスの増加や昨今における原油価格の高騰、さらにはそう遠くない将来における化石資源の枯渇問題は、必然的な流れとして植物などの再生可能資源由来バイオプラスチックに対する関心を高めている。とりわけ、ポリ乳酸はトウモロコシのような再生可能な植物資源から誘導される完全生分解性プラスチックで、従来の石油を原料とするプラスチックや合成繊維に比し原料の採取から製品製造を経て廃棄処理(再資源化)工程(“揺りかごから墓場まで”)に至るまでの二酸化炭素発生量は最低レベルであり、現在実用レベルにある唯一の環境低負荷型次世代プラスチックとして注目されている。
 ポリ乳酸はこれまで耐熱性や耐久性、耐衝撃性などに劣り、広範な用途分野への応用展開が制限されてきたが、近年これらの技術的課題に対してブレークスルーがなされ、既存の石油系汎用プラスチックの少なくとも一部を置き換え得るレベルに到達した。その結果、再資源化(堆肥化あるいはバイオガス化)が可能なバイオリサイクル材としての展開のみならず、長期耐久性が求められる構造材料としての展開が可能となった。
池田 正一
キヤノン(株)
映像事務機事業本部
映像事務機ビジネスサポート事業部
キヤノンにおけるインバースマニュファクチャリングの事例
 キヤノンの環境経営の実践として、製品ライフサイクル全体を通じた、人にやさしい環境に配慮した製品づくりを目指す活動を進めております。
 その活動の一環として、資源の有効活用の最大化を目指しグローバル規模でのリサイクルを推進しています。 キヤノンのリサイクルに関する取組経緯と、キヤノンのインバースマニュファクチャリングに関するコンセプトと、複写機製品における日本でのインバースマニュファクチャリング事例として、回収からリサイクル拠点の構築、および回収製品の再利用についての実施事例の紹介を行います。
鈴木 千秋
富士ゼロックス(株)
技術開発本部
化成品開発部
環境負荷低減ケミカルトナー
 近年、複合機およびプリンターの高画質品質およびその維持性要求から、粒径制御、形状制御、機能分離制御(コア-シェル構造)に高い設計自由度を有するケミカルトナーの採用が増えている。
 ケミカルトナーは環境負荷低減の観点でも従来の混練粉砕法トナーに比べ優位となる。それはケミカル製法が小粒径トナー作成の容易性、球形〜ポテト形状制御の優位性を有しており、その高い設計自由度により、システムの適合性を損なうことなくトナー消費量削減を可能としている点である。また製法として粉砕、分級工程を有さないため、生産時のCO2発生量を削減していることも特筆すべき点である。富士ゼロックスでは第一世代ケミカルトナーであるEA1/EA-HGでその優位性を獲得しているものの、省エネルギーの取り組みは上記に留まらず益々重要視されており、第二世代ケミカルトナーであるEA-Ecoの開発が加速されているところである。。
大林 陽一郎
(株)リコー
社会環境本部
環境経営企画室
環境技術グループ
電子写真装置の環境技術開発に関する包括的取り組み
 リコーでは、製品がライフサイクルで及ぼす環境影響の大きさを把握し、環境負荷削減の重点を決め環境技術開発を進めている。電子写真装置においては、石油資源枯渇の観点から植物由来樹脂の搭載、植物由来トナーの開発を進めている。省資源化としてトナーカートリッジのリユースを進めるためのトナー洗浄技術。温暖化防止の観点から省エネルギーとして、モノクロ機用定着ユニットの「QSU(Quick Start Up)」技術(薄肉ローラー)とキャパシタによる「HYBRID QSU」技術、カラー機用定着ユニットの「カラーQSU」技術(IHの搭載、ベルト定着)などを開発している。これらの技術の概要、環境負荷削減効果、今後の課題等を紹介する。

※キャパシタによる「HYBRID QSU」技術の詳細については、岸氏の講演にて発表
岸 和人
(株)リコー
画像システム事業本部
オフィス事業統括センター
技術戦略室
電気二重層キャパシタシステムによる環境対応定着技術
 環境に対する意識の高まりとともに、オフィス機器の中でも特に電力消費量が大きな複写機やプリンタの省エネ化への要請と期待がますます高まっている。
 これに対応して、電子写真プロセスの中でも電力消費の大きな定着装置を対象として、様々な工夫を凝らした省エネ技術が各社から提案・実用化されている。
 複写機は画像形成動作時ではなく待機時の電力消費が約7〜8割を占めるため、ウォームアップタイムの短縮と待機時電力削減が有効であり、薄肉ローラやフィルムなどを用いた定着部材の低熱容量化が省エネ技術の主流である。しかし、特に高速機など定着部材の低熱容量化が難しく,消費電力の削減が困難な機器が存在している。
 本セッションでは、これまでの低熱容量化技術だけでは困難であった機器への適用や性能を得られる省エネ技術として、補助電源とその蓄電装置に電気二重層キャパシタを用いた定着システムをとりあげ、電気二重層キャパシタの特徴とこれを活かしたシステム、及び関連する技術動向に関して紹介する。
小澤 義夫
京セラミタ(株)
化成品事業部
電子写真の長寿命化と環境負荷低減
 環境負荷低減に向けて様々な試みがなされているが、当社においては電子写真プロセス部材の長寿命化によって部品やユニットの交換頻度を下げ、印刷時に発生する廃棄部材の低減を図る製品開発を行ってきた。
 今回の発表では、その取り組みを最近の当社の開発製品と長寿命化の鍵になった部材やユニットをベースに具体的な開発事例を紹介する。