
論文賞は、本学会の対象とする領域において、学問および技術に貢献する優秀な論文の著者に贈呈されます。
2023年度(第38回)
『カーボンナノチューブを用いたフレキシブル電極作製とフレキシブルデバイスへの応用』
日本画像学会誌, 62(3), pp. 200-207 (2023)
Yeji KIM
LG Japan Lab 株式会社
受賞理由:CNTの透明電極膜の作成における大きな課題である分散性や室温でのプロセス設計に対してのアプローチが面白く、コスト、生産性の面で大きな進展があったと評価できる。フレキシブルデバイスへの展開など今後が期待できる。

2022年度(第37回)
『ゼータ電位分布測定による顔料分散体の吐出安定性の予測』
日本画像学会誌, 61(3), pp. 200-208 (2022)
福田 輝幸(ふくだ てるゆき)、芦沢 健(あしざわ たけし)、田中 聡(たなか さとし)、Iain BLAKE
花王株式会社
受賞理由:サーマルヘッドにおけるインク吐出の予測評価方法を計算にて,独創的にかつ論理的に見出したことは非常に有用である。論文の論理構成が明確で,考察もしっかりしており,しかも,顔料分散体のゼータ電位による新指標が,インクジェットヘッドの吐出耐久性の評価指標として,有効であることが示され,物性値のみで吐出耐久性を予測できるようになった点が多いに評価できる。サーマルヘッドを製造しているメーカーは多くないが,インク開発へのインパクトは大きく,さらなるサーマルヘッドおよびインクの発展が期待され,論文賞に値する。




2021年度(第36回)
『位置ずれに対する濃度ロバスト性向上ハーフトーン技術の開発』
日本画像学会誌, 60(5), pp. 450-457 (2021)
角谷 繁明(かくたに としあき)、林 拓馬(はやし たくま)、和哥山 拓也(わかやま たくや)、宇都宮 光平(うつのみや こうへい)
セイコーエプソン株式会社
受賞理由:印刷時のコックリングによる濃度変動という非常に難しい課題に対して,位置ずれによって生じる濃度変動を低減するロバスト性の高いハーフトーン技術の開発により課題を解決したことは新規的,かつ独創的である。解決すべき課題への考察,解決手段の絞り込み,および検証までの筋道が論理的にまとめられている。新規手法を用いて,インクジェットプリンターで発生する「濃度むら」を,ハードでの対応無しで,ほぼコストゼロでのハーフトーン画像処理技術により大幅に改善可能とした研究成果は,インクジェット印刷技術や画像処理技術の更なる発展に貢献すると期待される。




2020年度(第35回)
『動的接触角と接触線速度の関係を考慮したインクジェット液滴の広がり挙動のシミュレーション』
日本画像学会誌, 59(1), pp. 96-102 (2020)
福岡 誠之* (ふくおか まさゆき) 、 門永 雅史*,** (かどなが まさみ)
*株式会社リコー、**東京工業大学
既存研究で議論されていなかった顔料を含むインクと実利用されるメディアを対象とし、実験結果と良好に一致するシミュレーション結果を得たことについて整然と記述している。インクジェットの画質を支配する画像形成過程について、2 種のモデルインクと3 種のメディアについてインク液滴の広がり挙動をモデル化したシミュレーション結果が実測結果とよく一致した。関心の高い、pL オーダーの液滴の着弾直後の振る舞いにおいて、その時間・空間での挙動を論理化し、高精度に予測する技術を獲得した点も評価できる。


2019年度(第34回)
『PVA ゲルを用いた新規インクジェット射出速度の制御手法』
日本画像学会誌, 58(1), pp. 19-27 (2019)
前嶋 麻緒(まえしま まお)、工藤 帆乃香(くどう ほのか)、大貫 甫(おおぬき はじめ)、栗原 千尋(くりはら ちひろ)、木山 景仁(きやま あきひと)、田川 義之(たがわ よしゆき)
東京農工大学大学院 工学研究院
受賞理由:高粘度液体の射出を可能とする新規インクジェット射出機構に関する報告であり、PVAゲルを用いた射出速度の制御に関して、定量的な評価と明快な論理展開によるジェット射出制御機構の解明を行っている。本技術は、ジェット射出機構に対し、キャビテーション(気泡)を積極利用したものであり独自性・新規性が高い。特に、圧力伝搬モデルを用いた解析と実験的な検証により、理論と実証の両面から制御メカニズムを明らかにした点が高く評価される。また、実験方法や考察が類似の研究分野にも波及しうる内容であり、今後の研究・開発の発展が期待される技術である。






2018年度(第33回)
『Verification of Cockling Reduction Effect on Offset-Coated Paper by Drying Technology Using Laser Exposure and Consideration on Cockling Mechanism by FEM Simulation Modified Thermal Expansion Model』
日本画像学会誌, 57(6), pp. 692-699 (2018)
長谷部 恵(はせべ さとし)、本杉 友佳里(もとすぎ ゆかり)、前後 武志(ぜんご たけし)、浜崎 聡信(はまざき としのぶ)、石原 拓真(いしはら たくま)
富士ゼロックス株式会社
受賞理由:インクジェット紙の乾燥プロセス設計と制御は、これまでも多くの取り組みがなされている重要領域であり、インクジェットの高速化による産業応用の発展に伴い、より一層重視されている。本論文は、オフセットコート紙の乾燥時に生じる”波打ち”の低減へ向け、富士ゼロックス社が開発したレーザー照射による用紙乾燥手法の優位性の評価と、用紙の波うちに関するシミュレーションモデルの開発・実測値との比較検証に関する研究報告である。インクジェット紙の波打ちに関する定量的なシミュレーション手法は、用紙の乾燥プロセス設計に新たな指針を与えることが期待される。以上、画像関連分野研究としての新規性・重要性およびその発展性により、日本画像学会論文賞に値すると評価する。





2017年度(第32回)
『実観察環境における光沢紙写真プリント画像の黒濃度及び色再現の“見え”定量化』
日本画像学会誌, 56(4), pp. 327-334 (2017)
原 勝志(はら かつし)、金子 卓巳(かねこ たくみ)、 柳内 智和(やない ともかず)
キヤノン株式会社
受賞理由:観察環境により変化する黒濃度と色再現を“見え”と定義し、その理論的解析から現行方法の課題を明確化し、新たな定量的評価方法を提案した。更に、実物での検証実験により、その方法の有効性も示した。また、本研究の評価方法は、製品に用いられ、評価技術として実用化されている。本研究は、“画像”の理解とその高画質化に向けた基盤技術の一つとして極めて優れた成果である。



2016年度(第31回)
『Analysis of Wetting and Coalescing Behavior of Minute Ink Droplets by MPS Simulation 』
日本画像学会誌, 55(2), pp. 176-183 (2016)
Ryosuke TAKAHASHI*, Nobuyuki HIROOKA*, Tomoyuki ITO*, Nobuyuki NAKAYAMA*, Hiroyuki WATANABE**, Hiroshi MATAKI**, Seiichi INOUE**
*Fuji Xerox Co., Ltd, **FUJIFILM Corporation
受賞理由:インクジエットプリンタの高画質化には、インク液滴の濡れおよび合一挙動を制御することが重要である。本研究では、サイズおよび状態変化速度の制約から、実験で把握することが困難なインク液滴の濡れおよび合一挙動の定量化を、MSP(MOVing ParticleSemi-lmplicit)法によるシミュレーションにて高精度かつ短時間で計算することを可能とした。シミュレーション結果と実験結果との整合性も検証され、その有効性も示されている。本手法は、インクジェットプロセスのパラメータおよびインク特性を設計する上で有用であり、インクジェト技術の理解と高画質化に向けた基盤技術の一つとして極めて優れた成果で、日本画像学会論文賞に値するものと評価する。







2015年度(第30回)
『Theoretical Study of Charge Transport Phenomena in Organic Electronics Devices』
日本画像学会誌, 54(6), pp. 542-553 (2015)
Takayuki SHODA* , Qi GAO*, Akiteru FUJII**
*MCHC R & D Synergy Center, **Mitsubishi Chemical Corporation
受賞理由:有機感光材料などさまざまな電荷輸送材料の電荷移動現象に対する第一原理計算を行い、分子レベルでの性能を検討し、また、FET などに対するデバイスレベルでの新たな計算手法を提案した。電荷輸送特性の数値解析技術研究として、新規性と有用性に優れる論文である。論文の完成度も高く、論文賞にふさわしい。



2014年度(第29回)
『電極形状が銀析出型EC素子の鏡面化特性に与える影響』
日本画像学会誌, 53(4), pp. 265-271 (2014)
坪井 彩子(つぼい あやこ)、中村 一希(なかむら かずき)、小林 範久(こばやし のりひさ)
千葉大学
受賞理由:電気化学的に可逆な色調変化を発現するエレクトロクロミズムは、電子ペーパー、デジタルサイネージ等の省電力な表示・調光デバイスへの応用が期待されている。本研究では、電極上への銀の還元析出に基づいて色調が変化するエレクトロクロミック素子に関し、電極の表面形状が素子の光学特性に与える影響について評価を行い、平滑な電極では鏡状態を、ITO粒子によって被覆した電極では黒状態を発現することを見出し、電極形状により鏡面化特性が任意に制御可能であることを示した。従来には無い色調の表現可能なデバイスへの展開が期待され、さらに、表示素子として鍵となる黒色発現の機構に関するITO粒子修飾電極形状と析出銀形状の詳細な解析は今後の表示素子への応用展開へ向け重要な知見と成り得ることから、論文賞に相応しいものと評価した。



2013年度(第28回)
『High-Resolution Measurement of Electrostatic Latent Image Formed on Photoconductor Using Electron Beam Probe 』
日本画像学会誌, 52(6), pp. 501-508 (2013)
須原 浩之(すはら ひろゆき)
株式会社リコー
受賞理由:電子写真プロセスの解析技術として,潜像を高分解能で可視し定量化する技術の要求は電子写真黎明期からの重要な課題で,高いニーズがある.本研究では,電子ビーム照射時により放射される二次電子の電界偏向を利用した新たな潜像可視化,計測技術を開発し,オンラインでのミクロンオーダの電位計測を可能とした.電子写真技術の理解と高度化に向けた重要な基盤解析技術の一つとして極めて優れた成果であり,論文賞に相応しいものと評価した。

『ベイズ統計によるマルチバンドスキャン画像の波長・空間領域の同時復元』
日本画像学会誌, 52(5), pp. 400-405 (2013)
村山 雄亮(むらやま ゆうすけ)、井手 亜里(いで あり)
京都大学
受賞理由:マルチバンド画像スキャナーにより取得した画像に対して超解像を適用することは、文化財デジタルアーカイビングに応用できる有用な技術である。本研究は、分光反射率推定の手法であるウィナー推定と超解像の手法であるベイズ超解像を組み合わせることにより、従来の3分の1程度の撮像時間で、1.7倍の解像度向上を実現している。精密な議論と定量的な評価に加え、提案手法による復元画像の画質向上が著しく、結果を伴った理論構築が、論文賞に相応しいものと評価した。


2012年度(第27回)
『レーザードップラー振動計を用いたインクジェットノズル乾燥過程の研究』
日本画像学会誌, 51(2), pp. 131-138 (2012)
瀬尾 学(せお まなぶ)、塚本 武雄(つかもと たけお)、法兼 義浩(のりかね よしひろ)
株式会社リコー
受賞理由:インクジェットノズルの乾燥過程の解析は、デジタルファブリケーションへの応用などインクジェットの高精度化が求められる中で重要な技術である 本研究は 理論的 実験的な検証を通じ 画期的な解析法を確立したと言え、インクジェット技術の発展への貢献が期待される。



2011年度(第26回)
『デジタルカメラ近赤外画像による植生指数推定の試み 』
日本画像学会誌, 50(6), pp. 514-420 (2011)
尾崎 敬二(おさき けいじ)
国際基督教大学
受賞理由:環境状況把握の一つである植生分布観測は、従来主にリモートセンシングの手法を用いて行われている。本論文では、従来の人工衛星や航空機搭載センサに代えて、市販のデジタルカメラを用いて植生分布の推定を試みている。デジタルカメラの感度特性に着目し,植生に必要とされるデータ取得の為に光学フィルター等の工夫を行うなどの方法の提示と画像処理によって分光放射輝度計による測定結果に近づけることに成功している。廉価な機材を用いて実用的な結果を得る手法と理論展開が評価された。

2010年度(第25回)
『好ましい色再現とその評価方法に関する研究』
日本画像学会誌, 49(5), pp. 384-390 (2010)
西浦 美都子(にしうら みつこ)
京セラミタ株式会社
受賞理由:色再現方法として、原稿に忠実な色再現方法の他に、好ましい色再現方法がある。好ましい色は記憶色と関連していると言われているが、環境や文化によって記憶色は異なる傾向にある。本論文では、世界各国における好ましい色を知るために、千葉大学の小林裕幸教授が提案したサンプル提示法である「系統的配置法」を用いて、好ましい色の評価方法を確立している。各国共通で記憶色を持つような対象物の選定、シーンの特定に配慮した質問方法を考案し、全世界的に調査可能な評価方法を確立している。この評価方法を用いて日本、イタリア、ドイツ、スウェーデン、米国、ブラジルの6か国で、肌色、黄色、緑色、青色を対象に好ましい色を明らかにしている。この結果、好ましい色には地域差があること、「系統的配置法」は色に詳しくない未熟練者を対象とした調査にも適用できることを示している。

2009年度(第24回)
『振動細管法によるトナーの流動性の評価』
日本画像学会誌, 48(3), pp. 162-169 (2009)
松坂 修二*(まつさか しゅうじ)、白井 聖*(しらい たかし)、細尾 康元*(ほそお やすゆき)、安田 正俊**(やすだ まさとし)
*京都大学、**有限会社IMP
受賞理由:粉体を細管に充填し、一定の割合で振動強度を増加させて下部から排出される粉体の質量変化から流動性を求める振動細管法によりトナーの流動性を評価した。26種類の模擬トナーを用いて流動性プロファイルを求め、トナーの流動性の特徴を調べた結果、本方法は短時間で繰り返し実験が可能であり、トナーの調整条件の僅かな違いに基づく流動性の変化を評価できることが分かった。




『高ガンマ感光体の光減衰と暗減衰のメカニズム』
日本画像学会誌, 48(3), pp. 152-161 (2009)
情野 國城(せいの くにき)、吉田 一郎(よしだ いちろう)、平原 秀昭(ひらはら ひであき)、小沼 崇明(こぬま たかあき)、海江田 省三(かいえだ しょうぞう)
株式会社アフィット
受賞理由:X型無金属フタロシアニン顔料をポリエステル樹脂中に分散した電子写真単層感光体は一般に高ガンマ感光体と称されており、光減衰曲線が逆S字を示すインダクション効果を示す。本論文はこの高ガンマ感光体の光減衰特性および暗減衰特性を構造的トラップを考慮した理論的モデルにより説明した。構造的トラップの構造的深さ、トラップ間距離および光キャリア生成効率を決定する解析手法を提案し、理論式は単層感光体の光減衰と暗減衰の実験結果と一致することを確認した。





2008年度(第23回)
『2成分現像剤の静的帯電理論の再検討』
日本画像学会誌, 47(3), pp. 147-156 (2008)
岡田 久雄*(おかだ ひさお)、竹内 学**(たけうち まなぶ)
*三星電子株式会社、**ユーテック株式会社・元茨城大学
受賞理由:2成分現像剤におけトナー・キャリヤ混合比とトナー比電荷との関係を解析し、従来の接触電場理論・表面状態理論・速度論的理論の3つの個別理論の統一化を図り、従来の接触電場理論にトナーおよびキャリヤの誘電率を考慮することで表面状態理論とも整合できることを明らかにし、また、表面状態理論が動的帯電方程式にも展開できることを示した点が評価された。


『縦型有機トランジスタのOn/Off比の改善と周波数特性の検討』
日本画像学会誌, 47(2), pp. 83-88 (2008)
藤本 慎也*(ふじもと しんや)、前田 博己*(まえだ ひろき)、鶴岡 美秋*(つるおか よしあき)、中山 健一**(なかやま けんいち)、横山 正明***(よこやま まさあき)
*大日本印刷株式会社、**山形大学、***大阪大学
受賞理由:高速、大電流動作が可能な縦型有機トランジスタは、基礎、応用の両面から極めて重要なデバイスである。従来のメタルベース有機トランジスタ(MBOT)では、ON/OFF 比が大きく取れない問題点があったが、本論文ではON/OFF 比改善の手法を示している。すなわち、アルミニウムベース電極作製後に加熱処理を行うことで、off電流が3桁程度減少し、On/Off比は10^5以上増大することを示している。さらに、周波数特性から電流増幅率が1となる遮断周波数を約200 kHzと評価している。以上の成果は、縦型有機トランジスタの特性改善を実現したもので、応用上極めて重要である点が評価された。





2007年度(第22回)
『金色の認識メカニズムの解明—金色認識の前提条件としての形状認識の必要性の確認—』
日本画像学会誌, 46(5), pp. 357-362 (2007)
面谷 信*(おもだに まこと)、小島 聡**(こじま さとし)
*東海大学、**東海大学/現:千代田グラビア
受賞理由:色彩としての金色は所謂黄色に近いものであるが、人が金色と判断するためには対象領域に一定以上の広さが必要であるという既往研究を発展させ、画像中の対象物の形状認識と色彩認識との時間的な(あるいは脳の処理順としての)前後関係を実験により検証し、明確な結論を導いている点が評価された。さらに最近関心を集めている感性評価の手法を確立する手がかりとなる可能性も持ち合わせている点が評価された。


2006年度(第21回)
『高移動度を有する新規な電子輸送材料の開発』
日本画像学会誌, 45(6), pp. 521-525 (2006)
藤山 高広(ふじやま たかひろ)、 杉本 賢一(すぎもと けんいち)、 関口 未散(せきぐち みちる)
三井化学株式会社
受賞理由:新規な電荷輸送材料の提案が行われている。汎用化までできていないが、新規な物質の提案として高く評価する。



『適応的空間処理によるビデオカメラ画像の高コントラストなレンジ圧縮』
日本画像学会誌, 45(1), pp. 22-31 (2006)
物部 祐亮*,**(ものべ ゆうすけ)、 山下 春生*(やました はるお)、黒沢 俊晴***(くろさわ としはる)、 小寺 宏曄**(こてらひ ろあき)
*松下電器産業株式会社, **千葉大学大学院, ***コンサルタント
受賞理由:従来手法であるレチネックスモデルの持つ変換後の視覚コントラストが入力画像と同等に維持できないという課題に対して新規な手法を提案した。方式の理論展開が十分行われており、さらに提案方式がビデオカメラへ十分応用可能であることを検証により実証した点は評価される。




2005年度(第20回)
『Generation of Charge-control Ability of Pararosaniline Due to Protonation and its Protonation Mechanism』
日本画像学会誌, 44(5), pp. 342-346 (2005)
牧野 崇史*、井村 康朗*、日達 昭夫**、岩田 昭平*、水口 仁*
*横浜国立大学、**ソニー株式会社





『液体トナーによる高精細現像の理論と実験』
日本画像学会, 44(6), pp. 429-436 (2005)
真常 泰、八木 均、高橋正樹、石井浩一、高須 勲、細矢雅弘
株式会社東芝






2004年度(第19回)
『有機顔料における励起子相互作用』
日本画像学会誌, 43(1), pp. 10-24 (2004)
水口 仁*(みずぐち じん)、今永 俊治**(いまなが しゅんじ)
*横浜国立大学、**ソニー株式会社


2003年度(第18回)
『分光パレットを用いたRGB画像から擬似分光画像への変換と特異値分解による圧縮』
日本画像学会誌, 42(3), pp. 215-223 (2003)
小寺 宏曄(こてら ひろあき)
千葉大学
受賞理由:分光パレットを介してRGB画像から擬似的な分光画像へ変換する簡易な方法を提案し、分光データの圧縮について述べるとともに、写真画像のインクジェットプリントによる実験結果から色再現精度や異なる照明光源下での再現色の見えについて評価し、新しい色材の開発等に有効であることを示した。

2002年度(第17回)
『デジタルスチルカメラシステムにおけるシグモイド関数を用いた階調変換』
日本画像学会誌, 41(1), pp. 3-10 (2002)
渡辺 崇(わたなべ たかし)、 近内 健護(こんない けんご)、星野 坦之(ほしの やすし)
日本工業大学
受賞内容:デジタルカメラによる画像プリントシステムにおいて、階調変換に変換曲線形状の調整が容易なシグモイド関数をもとに、その関数の曲線形状を画像のヒストグラムをもとに調整する方法を提案し、大きく画質改善ができることを明さにし、新しい画像処理として評価された。



2001年度(第16回)
『導電性トナーを用いた簡易なトナー飛翔記録プロセス』
日本画像学会誌, 40(4), pp. 337-344 (2001)
舩山 康弘(ふなやま やすひろ)、 堀 健志(ほり たけし)、吉井 朋幸(よしい ともゆき)、上薗 勉(うえぞの つとむ)
日本電気株式会社
受賞内容:微細な絶縁性格子を感光体表面に積層した感光体ユニットと導電性トナーを組合わせた新規な画像形成方式を提案し、トナーの重点、露光同時飛翔、定着の3工程からなる画像形成プロセスを実証した。




『クリーニングブレードの摩耗特性とクリーニング能力』
日本画像学会誌, 40(4), pp. 320-329 (2001)
情野 國城*(せいの くにき)、弓削 静雄*(ゆげ しずお)、上村 正雄**(うえむら まさお)
*ミノルタ株式会社、**豊橋技術科学大学
受賞内容:クリーニングブレードの耐刷性能がブレード材の反発弾性に強く依存することを早くから明らかにし、トライボロジーとレオロジーの立場から理論的ならびに実験的に解析を行い、クリーニングブレードの摩耗寿命とクリーニング能力の詳細なメカニズムを明らかにした。



2000年度(第15回)
『現像プロセスにおけるトナーの挙動計測』
日本画像学会誌, 39(3), pp.229-240 (2000)
平林 純(ひらばやし じゅん)、高橋 通(たかはし とおる)
キヤノン株式会社
受賞内容:現像プロセスにおけるトナー粒子の挙動を可視化する計測システムを開発し潜像に対するトナーの現像挙動や基礎的な現像現象の観測を可能にし、これを一成分非接触現像プロセスに適用して画像欠陥の発生過程等を実証した。


『分子間水素結合を形成したインジゴ顔料の電子構造―キナクリドンならびにピロロピロール顔料との比較―』
日本画像学会誌, 39(2), pp.94-102 (2000)
水口 仁(みずぐち じん)、遠藤 彩映、松本 真哉
横浜国立大学
受賞内容:インジゴの電子構造について、分子構造、結晶構造、分子間相互作用の立場から検討し、繊維モーメント間の相互作用(”励起子結合効果”)が発色機構の決定因子であることを明らかにし、インジゴ、キナクリドン、ピロロピロール等の水素結合系顔料の個体状態での発色機構について説明を与えた。

1999年度(第14回)
『カラー電子写真プロセスにおける中間転写方式の検討』
日本画像学会誌, 38(1), pp. 9-19 (1999)
宮坂 徹(みやさか とおる)、山本 雅志(やまもと まさし)、島田 昭(しまだ あきら)
株式会社日立製作所
受賞内容:中間転写体を用いるカラーレーザープリンタにおける転写プロセスの解析モデルを提出し、転写の行われる時間と中間転写体層や用紙層の有する時定数の関係が転写プロセスにおいて重要であることを明らかにした。さらに、多層のトナー層を一括転写する中間転写プロセスにおいて、転写可能なトナー量は、トナー帯電量と付着量の積で与えられることを示した。



1998年度(第13回)
『ソフトローラー転写を用いたカラーレーザープリンタの環境安定性』
電子写真学会誌, 37(2), pp. 156-166 (1998)
保坂 靖夫(ほさか やすお)、中尾 英之(なかお ひでゆき)
株式会社東芝
受賞内容:電子写真技術で感光体上に形成したトナー画像を普通紙に転写するプロセスに関して、最適化した抵抗層を有するソフトなローラに電圧を与え、温度35℃、湿度85%の高温多湿時にも安定な良質カラー転写画像が得られることを理論と実験から明らかにした。


1997年(第12回)
『フォトクロミック化合物による金属/有機界面における電荷注入光制御』
電子写真学会誌, 36(1), pp.5-10 (1997)
本間 寿一*、横山正明**
*三田工業株式会社、**大阪大学
受賞内容:光異性化でπ電子共役長が大きく変化するジアリールエテン誘導体の薄膜を金属電極と有機電荷輸送層の間に挿入することによって、電極からの注入電流を光制御できることを見出した。


1996年(第11回)
『フレキシブルGCRによる高精度色変換ーニューラルネットワークによる高精度プリンタモデルー』
電子写真学会誌, 35(2), pp.125-129 (1996)
村井 和昌、小勝 斉、喜多 伸児
富士ゼロックス株式会社
受賞内容:非線形応答特性をもつ4色プリンタのGCRを含めた色再現特性の精度良い予測のため、従来のニューラルネットワークを用いたモデルを改善、さらにネットワークの自由度と補間能力の関係を分析した。



1995年(第10回)
『マイクロフィールドローラーを用いた非磁性1成分トナーの搬送機構』
電子写真学会誌, 34(4), pp.328-336 (1995)
岩田 尚貴、鈴木 弘治、西土 和宏、沢田 彰
株式会社リコー
受賞内容:新規な一成分現像方式を考案し、理論と実験両面にわたって詳細な検討を行い、今後の一成分トナー現像の幅広い実用化に貢献する論文である。




1994年(第9回)
『ファインマイクロトーニング現像方式—フレキシブルスリーブを用いた一成分接触現像方式—』
電子写真学会誌 33(1), pp. 7-14 (1994)
池側 彰仁、後藤 浩、岩佐 英二、江ノロ 裕次
ミノルタ株式会社
受賞内容:電子写真方式を2値画像を主体とするプリンタに適合させるため、フレキシブルな導電性スリーブを用いて感光体ドラムとのソフトな接触を測った一成分接触現像方式ーファインマイクロトーニング現像方式ーを開発した。その結果、印刷と同様なエッジ効果がないシャープなライン再現が可能となった。この方式は電子写真方式のプリンタへの応用に新しい量域を広めたものである。




1993年(第8回)
『光背面記録法』
電子写真学会誌 31(4), pp. 542-548 (1992)
佐々木 幸雄*、木村 正利*、中島 淳三**
*富士通株式会社、**株式会社富士通研究所
受賞内容:像露光と現像を同時に行う装置の本格化とオゾンレス化を可能にする新しい電子写真法を提案し、好ましい像形成条件を解析的に導いた。現像とかぶり除去を1つのローラで行う点も新規性がある。実際にLEDプリンタを試作し実用性を検証した。



『接触型一成分非磁性現像方式(1)ー理論と最適化ー』
電子写真学会誌 31(4), pp. 531-541 (1992)
細矢 雅弘、斉藤 三長
株式会社東芝、総合研究所
受賞内容:トナー単層を保持する弾性ローラを用いた一成分非磁性現像方式の特性を、実験結果およびローラの電気特性などにもとづく理論解析により、安定に高画質を得るローラの抵抗値は10^5Ωm^2以下でなければならないことを導いた。さらに、実用的な面も考慮し、現像系構成の最適条件を提示した。


1991年度(第7回)
『帯電制御剤の分子構造とトナーの帯電性:塩構造の帯電制御剤が水の電子状態に及ぽす影響と帯電性の関係』
電子写真学会誌 30(3), pp. 282-292 (1991)
松井 乃里恵、岡 孝造、稲葉 義弘
富士ゼロックス株式会社
1989年(第6回)
『一成分トナーの層形成とその方法』
電子写真学会誌 28(1), pp. 10-19 (1989)
寺尾 和男、稲葉 繁、伊藤 健介
富士ゼロックス株式会社
1987年(第5回)
『フロート電極による電界強調現像』
電子写真学会誌 25(2), pp. 108-117 (1986)
武田 布千雄、坂本 康治、小林 一雄
株式会社リコー
1985年(第4回)
『電子写真に於けるデジタル・カラー・プリンティングの中間調再現法(Ⅰ)—LBPに於けるレーザ・スポット径について—』
電子写真学会誌 24(1), pp. 13-20 (1985)
河村 尚登、北島 信夫、門脇 秀次郎
キヤノン株式会社
1983年(第3回)
『フィルタ粒子を用いたワンショットカラー複写法』
電子写真学会誌 22(1), pp. 17-29 (1983)
高島 祐二、石田 英輔、粒崎 繁、弓場上 恵一、下間 亘
松下電器産業株式会社
『ポリ-N-ビニルカルバゾールにおけるExtrinsicキャリヤ生成機構(第3報)—分子内CT ComplexによるPVKの増感—』
電子写真学会誌 21(3), pp. 169-175 (1983)
下河原 滋*、加藤 義明**、板倉 良介***、横山 正明***、三川 礼***
*住友化学工業株式会社、**三田工業株式会社、***大阪大学
1981年度(第2回)
『ジャンピング現像方式の現像機構』
電子写真学会誌 20(1), pp. 8-17 (1981)
高橋 通、細野 長穂、神辺 純一郎、豊野 勉
キヤノン株式会社
1977年度(第1回)
『銀塩写真と対比した電子写真』
電子写真 15(2), pp. 2_20-2_37 (1976)
本庄 知、田口 誠一
富士写真フイルム株式会社
★「学会誌」メニューへ >> “Journal” Menu
☆トップページへ >> TOP