第2回  イメージングカフェ関西   レポート  


    【ご参考】第2回募集案内

7月19日(金) 18:30より、パナソニック企業年金基金 松心会館にて第2回イメージングカフェ関西を開催致しました (参加者18名:委員、講師含む)。

今回は、15年間に亘り日本画像学会関西委員会委員を務められ、本年、コニカミノルタ(株)をご卒業された伊藤昇氏をお招きし、「電子写真と共に35年 〜ひたすら写真と呼べる画質を目指して〜」というタイトルでご講演をいただきました。
伊藤昇氏は、1978年3月 信州大学工学研究科合成化学専攻を修了され、同年4月ミノルタカメラ株式会社(現コニカミノルタ株式会社)入社、研究部にご配属、その後、画像技術開発部、先端技術開発センター等を経て、2013年5月末ご定年退職されました。

電子写真の黎明期から成熟期まで仕事人生のほぼすべてを本技術に注いできた伊藤氏が、苦労話を交えながら、現像・現像剤技術(特に一連のマイクロキャリア)の変遷、新規な帯電メカニズムの提案、若手の方へのメッセージとしてアイデアがどうやって生まれてきたか、などをお話し頂きました。

新入社員当時に手掛けた第1世代Micro Toning(MT)方式は、磁性一成分トナーに非磁性トナーを混ぜる実験から生まれ、7〜8階調が再現できたため、当時としては少しでも写真に近い画像が得られる画期的な現像方式であった。経営幹部に報告がなされ、社運を掛けたプロジェクトに発展した。キャリア径が小さい為、飽和磁化が小さくキャリア付着が発生しやすいが、マグネットが回転することで感光体に付着したキャリアを搖動させキャリア付着を抑制する効果があり、同時に感光体に付着したキャリアを逆手にとって回収することによりトナーフルリサイクルシステムを構築した。キャリアは磁性粉を樹脂に分散させたもので、発生した磁性粉を如何に取り去るか、そして磁性粉の分散技術を確立することに大変苦労した。MT方式を搭載したEP310は従来機種に比べて売り上げでダントツの1位で、ミノルタカメラの電子写真業界での存在を世にアピールすることができた。

第2世代のMT方式の開発は、高速化と低電位現像の為、Se-Asやa-Si感光体といった高誘電率の研究にフォーカスした。現像の効率と各種パラメータとの関係を詳細に研究し、低抵抗のキャリアを用いると低電位現像ができることを見出し、それは現像ニップでの電荷注入に起因していることを突き止めた。プロジェクトは残念ながら経営層の判断で中止となったが、キャリアの電気抵抗制御技術(=磁性粉分散性制御)及び荷電制御技術をシステマティックに積み上げることができ、次世代MT方式での開発の礎となった。

第3世代開発の目標は他社を凌駕する画質を維持しながら低負荷且つ高速領域までカバーできるスリーブ回転方式の開発となった。このシステムでは磁気吸引力の小さいキャリアは適用できないので、基本に戻って、高画質を維持できる範囲で高磁化(=磁性粉高充填)と大粒径化に着目するとともに、正負両極性トナーが使える荷電制御も目標となり、それまでに積み重ねてきたデータベースから、いとも簡単にZnフェライト粉+ポリエステル組成系に決めることが出来、当時のミノルタの悲願であった60枚機までのラインナップに繋がった。これには思わぬ効果があり、磁性粉分散型キャリアの表面の磁性粉と樹脂との帯電が寄与し、一般的なフェライトキャリアに比べ2〜3倍の長寿命化を達成していることを明らかにすることができた。

1994年デジタル機が上市されつつある背景の中で、潜在的にあった画像欠損が課題として浮き彫りになり、第4世代開発(MTHG方式)が始まった。画像欠損を無くするにはキャリアをなるべく接触させないことが重要であり、再び小径・低磁力キャリアに先祖返りさせることで現像剤の均一薄層を形成させてジャンピング現像させる2成分非接触薄層現像システムを、キャリアと現像プロセス開発をコラボさせることで完成させることができた。

最後のまとめとして、大事なキー技術は簡単に捨ててはいけないという事を強調されました。技術開発に仕事人生のほぼ全てを本開発に注いできた伊藤氏は、常に仮説→科学法則に基づくモデル化・数式化→検証を繰り返し、系統的なデータベースを組織の知とすることを努めて来られました。革新は、最初は閃き、時には偶然もありますが、それを如何に製品にまで育てるかは、やみくもな実験ではなく科学的で汎用性ある進め方が重要であることを感じました。

記・関西委員会 委員長 北岡義隆(パナソニックシステムネットワークス)


次回(第3回)は、11月頃に開催予定です。企画を決定次第、ご案内します。