ICJ2022講演プログラム
ICJ2022 キーノート・記念講演・招待講演要旨
Keynote Speech
K-01
6月22日
09時40分〜10時30分仕掛学 -人を動かすアイデアのつくり方-
Shikakeology -Designing Triggers for Behavior Change-
松村 真宏
Naohiro Matsumura
大阪大学大学院経済学研究科
Graduate School of Economics, Osaka University
ご略歴
2003年東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。大阪大学大学院経済学研究科講師,准教授を経て2017年教授。2004年イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校客員研究員,2012年〜2013年スタンフォード大学客員研究員。「仕掛学」を創始し,仕掛学の研究・実装・普及に従事。ベストペーパー賞(山本晶, 松村真宏,日本マーケティング学会,2017年10月),第6回World OMOSIROI Award(2020年2月)などを受賞。著書は『仕掛学』(東洋経済新報社),『人を動かす「仕掛け」』(PHP研究所)など多数。
「ついしたくなる」にはシカケがある。スタンフォード大学の講義でも用いられている、日本発のフレームワーク、 仕掛学【Shikakeology】。押してダメなら引いてみな。一言で言うとこれが仕掛けの極意です。人に動いてほし いときは無理やり動かそうとするのではなく、自ら進んで動きたくなるような仕掛けをつくればよいのです。ただ、 言うは易し行うは難し。そのような仕掛けのつくり方はこれまで誰も考えてきませんでした。本講演では仕掛け の事例を分析、体系化したうえで、「ついしたくなる」仕掛けのアイデアのつくり方についてご紹介します。
記念講演 :『2020年度論文賞』
A-22
6月23日
13時30分〜14時00分動的接触角と接触線速度の関係を考慮した液滴の着弾挙動シミュレーション
Numerical Simulation of Inkjet Droplet Impact with the Consideration of the Relationship between Dynamic Contact Angle and Contact Line Velocity
福岡 誠之, 門永 雅史 1,2
Masayuki Fukuoka, Masami Kadonaga1,2
1 株式会社リコー, 2 東京工業大学
1Ricoh Company Ltd., 2Tokyo Institute of Technology
インク滴の濡れ広がりにおいて,動的接触角と接触線速度の関係を考慮したシミュレーションを行った.インク ジェットプリンティングにおける画像品質は,メディア上でのインク滴の挙動の影響を受けるため,その挙動を予 測することが求められている.滴のぬれ広がり挙動は、動的接触角と接触線速度の関係を考慮したシミュレー ションにより精度よく再現できることが知られている.しかし多くの場合,mm サイズの水滴とガラスの組み合わ せなど単純な系で検討されている.本研究で,インクジェットプリンティングで用いられるインク・メディア・滴サイ ズを対象にしてシミュレーションを行い,実測を精度よく再現する結果を得た.
記念講演 :『2020年度日本画像学会コニカミノルタ科学技術振興財団研究奨励賞』
A-39
6月24日
13時30分〜14時00分熱回路網法から考える印刷過程の熱設計のフレームワーク
Framework of Thermal Design of Printing Process by Thermal Resistance Network Analysis
福江 高志
Takashi Fukue
金沢工業大学
Kanazawa Institute of Technology
熱回路網法による電子機器の熱設計は何も新しい考え方ではない.一方,多様化した消費者のものづくりへ の要求に,設計要素を自在に考え,冒険的な製品設計の探索が求められる.印刷プロセスの根幹を担う伝熱 プロセスに対し,熱設計はどのように向き合うべきか,熱回路網法はそのヒントを与えている.直近での熱設計 一般で顕在化している課題,印刷プロセスにおける伝熱プロセスの分析事例を紹介し,熱設計のフレームワー クの理想像を考える.
招待講演 :『感性』
A-09
6月22日
14時40分〜15時10分知覚の可視化と人の琴線に触れる感性設計
Kansei Design Touching a Chord in a Person’s Heart by using Visualization of Perception
農沢 隆秀
Takahide Nouzawa
広島大学
Hiroshima University
感性によるものづくりは,人にとっての『意味的価値』の創出です.人は,何かを購入しようとする時,機能的価値だ けではなく,その人にとって意味のある「意味的価値」を加えた総合的価値で判断すると言われています.その意味 的価値は,まさに感性そのものです.人の感性,知覚の基礎研究から,人と人,人とモノを繋ぐ感性が推察できれば, 多様な感性を類型化するユーザーモデルと組み合わせることで,新しい「ものづくり」や「サービス」が可能になると考 えられます.本講演では,「人の知覚の可視化による感性軸」や,「感性のビルディングブロックを用いた共感するシ ナリオ創り」による感性設計の手法を示して,その事例も紹介します.
A-10
6月22日
15時10分〜15時40分人の知覚を科学することで効果的に伝える感性設計の社会実装
Social Implementation of Kansei Design for Effective Expression of Persons' Feelings by Digitizing Human Perception
浦谷 勝一
Shoichi Uratani
コニカミノルタ株式会社
KONICA MINOLTA, INC.
本稿は、消費者のポスター広告に関していだく感性的な訴求ポイントをアンケート調査結果に基づき把握し、社会実 装の現場で効果的に消費者の訴求ポイントに刺さる広告デザイン開発過程の構築を目的とする。構築する開発過 程として、経営者が広告で伝えたいメッセージの言語化を行い、当該メッセージに対して効果的に消費者の視線誘 導を行うことで、記憶に残すための広告デザイン開発を実現する新しい手法を提案する。視線誘導に関しては視覚 的顕著性分析手法を、記憶形成においては Most Advanced Yet Acceptable 理論を適用することで、効果的に訴求 ポイントを伝達するスキームの社会実装が可能となる。
招待講演 :『画像処理・評価』
A-33
6月24日
09時30分〜10時10分異分野連携によるデータ駆動型の AI 研究に関する取り組み
Initiatives on Data-driven AI Research through Inter-disciplinary Collaboration
小川 貴弘
Takahiro Ogawa
北海道大学
Hokkaido University
本講演では,異分野連携によるデータ駆動型の AI 研究に関する取り組みについて紹介する.近年著しい発展を遂 げているマルチメディア AI 技術を用いることで,実社会に生起する様々な課題の解決が期待されている.本講演で は,我々が行ってきた多様な異分野との連携,具体的に,医学・土木工学・材料科学・脳科学等との連携を通した最 先端の AI 研究およびその社会実装の取り組みについて説明する.さらに,今後,AI が人間と協働し,持続的に発展 するために必要となる新たな視点について議論する.
招待講演 :『MBD』
A-36
6月24日
10時50分〜11時30分今後のモノづくりにおける上流設計の役割と期待
Role and Expectations of Upstream Design in Future Manufacturing
三矢 輝章, 大嶽 英宗
Teruaki Mitsuya, Eishu Odake
株式会社リコー
Ricoh Company, Ltd.
現代のモノづくりでは、本当に人々が欲しいモノを提供しているのだろうか?設計の手法やツールの進化によって、 必要な機能を満たす設計は可能になった。特に、1DCAE などジオメトリーをイメージせず、機能を直接的に設計する 手法が現実のものになっていることは驚きである。しかし、今 人々が欲しいのは体験価値(User Experience)を満 たすモノであり、当たらずとも遠からずではあるかも知れないが、機能を設計し実現することが、必ずしも体験価値を 満たすとは限らないのではないかと考える。人々は長い間当たらずとも遠からずのモノを受け入れてきたのではない かとも思う。モノづくりの歴史を振り返りながら、真に人々が欲しいモノをつくることについて考えを巡らせたい。
招待講演 :『電子ペーパー・フレキシブル』
A-40
6月24日
14時00分〜14時30分電子タイルによる壁面表示および立方体表示
Wall Decoration and Cubic Display using Electronic Tile
面谷 信, 矢口 博之
Makoto Omodani, Hiroyuki Yaguchi
東京電機大学
Tokyo Denki University
電子ペーパーの省電力性を生かした汎用的表示ユニットとして、電子タイルの概念を提唱し、反射型で不揮発性表 示である電気泳動方式を用いた電子タイルのプロトタイプを製作した。10 cm 正方の外形内に 1 cm 正方の 100 画 素を表示する試作電子タイルを 400 枚配列することにより 2 m 正方(4 m2)の壁面表示を可視化し、可変壁面装飾 等としての表示実験を行った。また、30 cm 立方および 10 cm 立方の立体形状に電子タイルを組み付けた立体型デ ィスプレイを実現し、その視覚効果を確認した。
A-41
6月24日
14時30分〜15時00分紙の読みやすさに学ぶデジタル文書リーダーの設計指針
Design Guidelines for Digital Document Readers Learned from the Readability of Paper
柴田 博仁
Hirohito Shibata
群馬大学
Gunma University
読み書きでの紙とデジタルメディアの比較研究からわかったことを外観し、読み書きを支援するデジタル環境の構築 に向けた示唆を示す。
A-42
6月24日
15時00分〜15時30分レイアウトデザインによる効率的な読みの支援
Designing Japanese Text Layout for Efficient Reading
小林 潤平
Jumpei Kobayashi
大日本印刷株式会社
Dai Nippon Printing Co., Ltd.
本稿では,日本語文を読むときの視覚心理とともに,スムーズな視点移動を促すレイアウトデザインの研究開発と実 用化の試みについて報告する。
A-43
6月24日
15時30分〜16時00分人のデジタルツイン形成に向けたフレキシブルひずみセンサの応用
Flexible Strain Sensor Application toward the Creation of Human Digital Twins
金澤 周介
Shusuke Kanazawa
産業技術総合研究所
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology
ウェアラブル機器の高度化により、人の位置、活動状況、バイタルサインなど多くの項目のデータ形成が可能となっ た。一方で、人の運動機能やそれに伴う身体形状の変化、さらには行動変容を引き起こす感情の推移など、定常的 なセンシング手法が未確立な項目も残されている。これらのセンシングを通じて、健康状態の管理や予測、技能の可 視化・伝達、能力の複写によるマルチタスクの遂行等を実現し、人の能力を拡張させる「人のデジタルツイン」が提唱 されている。本発表ではフレキシブルひずみセンサを用いた人の身体形状および運動状態のデータ化を紹介し、今 後の人間計測に求められるセンサの機能とその姿について議論する。