第2回 imagingNEXT 開催レポート

2025年4月4日(金)15:30~17:30に、Imaging NEXT第2回をリアル会場(水道橋)とオンラインのハイブリッドで開催しました。講師として法政大学 国際日本学研究所の岡本慶子先生をお招きし、『「染める」と「描く」の境界を越えて 〜伝統とデジタルの融合が生む新たな表現〜』と題して、インタビューを交えながら、岡本先生の取り組みを中心に染物の歴史やインクジェットとの関わりについてお伺いしました。参加者は計22名、うち現地参加者は15名(講師、企画委員含む)でした。

また、その後場所を移しての懇親会には12名が参加し、更に活発な情報交換が行われました。

最初にインタビュー形式にて、岡本先生の生い立ちや、今の学生に伝えたいこと等をお聞きしました。先生のご祖父様が京都で呉服問屋をされていたため、小さい頃から着物に親しんでこられたそうです。展示会で何千枚もの着物を見て「綺麗だな」と感じた経験が、現在の活動の原点であるとのことでした。また、現在はネット上ですぐに答えを探しがちですが、それをスタート地点として「自分の頭で考える力」を育てたい、という思いも語っていただきました。

次に、「技法・道具の進化で、模様はどのように変化したか」というテーマで、染織の歴史をご紹介いただきました。スライドには染物の写真や製作工程の動画が豊富に含まれており、さらに現地には数多くのサンプルをご持参いただいたため、視覚的にも非常にわかりやすく、染織の魅力を身近に感じることができました。

続いて、「伝統、工芸、ファッション、アートの違い」というテーマで、流通業界の背景に触れながら、「たくさん作って安く売る」スタイルが求められるようになった理由をご説明いただきました。百貨店とユニクロに並んでいる衣服の写真から生地の必要生産量を比較し、百貨店で並んでいる量のレベルでは、従来技法だと染色ビジネスとして成り立つ最低ロットに届かないものが出てくることが一例として紹介されました。

最後に「インクジェットが目指すもの?」というテーマで、従来のアナログプリントでのデザインをインクジェットで再現した例や、インクジェットで目指すべき方向性についてお話しいただきました。先生はITMA2023を視察された際に、技術者とデザイナーとで見ているものが違う、という印象を持たれたそうです。例えば技術者はインクの粒や線の再現度に注目しているのに対して、デザイナーやアパレルの現場では「この生地でどんな服が作れるか」「着たときにどう見えるか」に関心があるとのことで、インクジェットメーカーも「できること」ではなく、明確なターゲットや使い道のアピールが必要と感じられたそうです。例として、小ロットや一品生産にも対応可能な点は、個人作家やコンセプト主導のデザイナーにとって非常に有効であるため、従来の大量生産型ファッションとは異なる価値を創出することができるのでは、というご提案がありました。

今回も先生からお話をいただく際には、適宜進行役から質問や感想を挟む、対談に近いフランクな形式で進められました。また、インタビューによって先生の思いがより深く掘り下げられていたようにも思います。さらに、豊富なサンプルを実際に見ながらお話を伺えたことで、リアル会場の良さも改めて実感できる機会となりました。

Imaging NEXTでは、今後も皆様にとって有意義で楽しい時間を過ごしていただけるように、形式にとらわれず様々な企画を実施していこうと考えています。引き続き、多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

記・企画委員長 中井 洋志(エトリア)

「第2回 imagingNEXT 開催レポート」への1件のフィードバック

  1. 「技術者とデザイナーとで見ているものが違う」というご指摘は,自分たちでは気づかない視点ではっとしました.デジタル印刷の分野でも,デザイナーの視点でみると,今のデジタルプリンターは些細な制約事項や言い訳が多くて面倒な代物のようです.それらを印字方式固有の「味」として印刷を楽しんでもらえるような製品なり仕組みなりが作っていけるといいですね.

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