Imaging Conference JAPAN 2025
画像価値多様化への挑戦 - 来て・見て・語れ つながりが拓く画像技術の未来 -
1. 開催概要
1.1 大会概要
2025年6月11日(水)~13日(金)の3日間,Imaging Conference JAPAN 2025 (ICJ2025)(日本画像学会年次大会(通算135回))を東京科学大学すずかけ台キャンパスすずかけ台大学会館(すずかけホール)を会場とするハイブリッド形式にて開催いたしました例年通り,日本画像学会(The Imaging Society of Japan, ISJ)主催,画像関連学会連合会(画像電子学会, 日本印刷学会, 日本写真学会)および日本視覚学会の協賛となっています.また昨年と同じく,技術領域が共通する他学会に参加を呼びかけるため, 日本機械学会,デジタルテキスタイル研究部会,色材協会,加飾技術研究会にも協賛いただきました.
大会コンセプトは前回ICJ2024と同じとし,さらに,藤井会長が強く意識する「つながり」の重要性をアピールするべく,「つながりが拓く」を付加して,「来て・見て・語れ,つながりが拓く画像技術の未来Come, Watch, and Discuss, Nexus Pioneers the Future of Imaging Technology」といたしました企画・運営体制も前回同様で,学会委員会が主体となって実行委員会を編成しました.
1.2 技術エリア・セッション編成
例年と同様に,幅広い技術エリアで講演募集を行い,またオーガナイズドセッションを積極的に採用する方針としました.オーガナイズドセッションとしては,ICJ2024で蝙成したインクジェット,電子ペーパー/フレキシブル,2.5D/3Dプリンティング,Imaging Today特別セッション, 日本機械学会情報・知能・精密機器部門連携企画に,新たにデジタルテキスタイル,MBDが加わりました.2.5D/3Dプリンティングのセッションでは「加飾」技術も新たな技術領域として包含されています.通常セッションのデジタルプリンティング・電子写真,電子写真プロダクションを加え,9つの技術エリア・テーマに対して,基調講演l件,記念講演2件,招待講演19件,インタラクティブセッション8件を含め70件の講演が集まりましたこれらの講演に対してオーガナイズドセッション19,通常セッション5で,合計24のセッションを編成し,Fig.Iに示すスケジュールで開催いたしました.
イベントとして,企業各社の展示会,ワークショップ,画像技術による出力物ギャラリーも開催し,第1日目の最後には,対面での懇親会を行いました.そのほか,学会の重要な行事として,2025年度第68回定時総会を第1日目に開催しています.
1.3 トピックス
前回ICJ2024では,過去のIC]で開催したイベントの復活,オーガナイズドセッションの積極的採用,役員研修会や技術委員会での提案の採用, という方針で企画し,発表数,参加者数をコロナ前の水準に近いレベルまで盛り返すことができました.今回はさらに大きな規模の大会となることを目指し,新たな取り組みを行いました.一つは,インタラクティブ分科会を設置し,各ポスター発表での発表者のモチベーション向上を図るためreviewerをアサインいたしました発表者とのデイスカッションを行い,良い点,改善ポイントなどをフィードバックすることが役割です. また,若手の参加者を募るため,30歳未満の方には参加者割引を設けました.
2. セッション・講演内容
2.1 第1日:6月11日(水)
第1日は,メイン会場であるTrack I多目的ホール(Fig.1)で,大会実行委員長である東京科学大学飯野裕明先生より,開会の挨拶をいただき,3日間の大会の幕を開けました引き続き,最初のプログラムである基調講演では,「眼ではなく脳で視ている画像の世界」について,小寺イメージング研究室小寺宏嘩先生より,ご講演をいただきました.色・空間・照明の3点に注目して,数学モデルを基に脳で視ている画像の世界が紹介されました.
基調講演に続く一般発表の最初のセッションとして,インタラクティブセッションのショートプレゼンテーションを実施いたしましたこちらは,大学と企業から8件の発表がありましたここ何年かは事前に録音した動画を流す方式でしたが,せっかく対面なので生のスピーチを聞きたいという要望に応え, リアルタイムのプレゼンテーションとしました.
対面でのポスター発表は,同日午後に場所をラウンジに移して行われ,reviewerも参加して活発なデイスカッションが行われました(Fig.3).
Track I多目的ホールでは,ショートプレゼンテーションの後,学会の行事である2025年度第68回定時総会が開催されましたこちらの内容結果につきましては,定時総会報告(学会ウェブサイト,学会誌2025年8月号(64巻4号通巻276号))をご参照ください.
午後は,まずオーガナイズドセッションである「2.5D/3Dプリンティング(1)(2)(3)」が開催され,招待講演4件,一般講演3件が行われました.続くオーガナイズドセッション「MBD」では,リモート参加で招待講演l件が行われました.
第1日目のTrack II集会室lでは,企画委員会の企画運営によるワークショップ「AIツールの連携活用ハンズオン体験~試行と共有を通して“応用レシピ’'を描き出す~」が開催され好評でした.ラウンジでは,ポスター発表のほかに終日展示会が開催されました.今回は展示会社様のアイデアで,スタンプラリーを開催し,達成者には学会ロゴ入りのトートバッグや横浜記念グッズを賞品として,参加者の評判もよく,展示者様からも来訪者増加,展示効果が高いなどのコメントを頂戴しました展示会は大会期間の3日間開催されました.
第1日目の最後のプログラムが,対面の懇親会で,2階にあるレストランに場所を移し,約70名の方々にご参加いただき歓談しました.ここでは,インタラクティブセッションを対象として審査したベストポスター賞,ベストポスタープレゼンテーション賞編集委員長賞の発表が行われ,以下のご発表が表彰を受けました.
〈ベストポスター賞〉
講演番号IN-01:大須賀博雅様(冨士薬品工業株式会社)
「金属酸化物による有彩色での不可視デジタル情報への応用」
〈ベストポスタープレゼンテーション賞〉
講滅番号IN-03:山田はるか様(東京科学大学)
「溶液プロセスで作製したPh-BTBT-10極薄膜の結晶性と有機トランジスタ特性評価」
〈編集委員長賞〉
講演番号IN-02:栗田雅章様(紀州技研工業株式会社/東京農工大学)
「連続式インクジェットプリンターの液滴生過程におけるノズル流量の周期的変動の影響」
講演番号IN-06:阿部翔瑠様(山形大学)
「高機能有機—Ti02ハイブリッド白色インクの開発」
第2日:6月12日(木)
第2日Track I午前のプログラムは今回初めて設けたオーガナイズドセッションで,「デジタルテキスタイル(1)(2)」として招待講演6件が行われました.
午後の最初のプログラムは,2023年度論文賞受賞記念講演として,「カーボンナノチューブを用いたフレキシブル電極作製とフレキシブルデバイスヘの応用」についてのご講演が行われました.アンケートでも最も好評だった講演の一つとなっています続いて,編集委員会が定期的に企画開催する講涼会であるフリートーキングのICJ版として,Imaging Today特別セッションが行われました.「最新のエナジーハーベスティング技術・材料」をテーマとして,京都工芸繊維大学野々口斐之先生の「カーボンナノチューブをもちいた熱電発電および光熱電イメージング」,産業技術総合研究所駒崎友亮先生の「湿度変動電池の開発と応用」,そして,群馬大学田中有弥先生の「極性有機分子の自発配向分極現象を利用したエレクトレット塑振動発電素子」のご講演をいただきました.
続いて,今回の目玉企画の一つである「画像技術による出力物ギャラリー」のショートプレゼンテーションが行われました.9件の発表がなされましたが発表者やテーマがとても新鮮に感じられるセッションでした実際の展示は,ラウンジを会場として14:00~17:00に開催され盛況でした(Fig.4).
第2 B Track Iの最後はインクジェットのオーガナズドセッション「インクジェット:システム」で,3件のご講演が行われました.
2日目Track IIでは,午前に通常セッション「デジタルプリンティング・電子写真(1) (2)」,午後に圃じく通常セッションの「電子写真プロダクション(1) (2)」と電子写真関連のセッションが開催されました.それぞれ6件,4件の講演が行われました.
第2日の最後には,インクジェット技術部会主催の「インクジェット拡大交流会」が第1日目と同じレストランを会場として開催されています.
第3日:6月13日(金)
第3日Track Iはインクジェットのオーガナズドセッションで,「インクジェット:ヘッドとインク滴吐出プロセス (1)(2)(3)」のテーマで合計7件の講演が行われました.
午後に入って, まず2023年度日本画像学会コニカミノルタ科学技術振興財団研究奨励賞受賞記念講演として,大阪大学古賀大尚先生の「ナノセルロースと電子材料の融合によるグリーン・ペーパーエレクトロニクスの創成」のご講演をいただきました.
続いて,通常セッション「画像・イメージング」で3件,インクジェットのオーガナズドセッション「インクジェット:インク(1) (2)」で5件のご講演が行われました.
第3日Track IIでは,午前にオーガナイズドセッションの「電子ペーパー・フレキシブル(1)(2)(3)」の3つのセッションが開催され,招待講演3件,一般講演4件が行われました.
Track IIの午後は, 日本機械学会情報・知能・精密機器部門連携企画「フレキシブル体のハンドリングと高機能化技術」のセッションが設けられ,株式会社東芝小林祐子様より「ゴムローラの劣化/異常状態の検知技術」,山陽小野田市立山口東京理科大学吉田和司先生より「ベルトの横方向運動に関する研究」の招待講演をいただきました.続いて,「プリンタブル・ウェアラブルデバイスの基盤技術と応用」のセッションでは, 日本機械学会で活躍する方々から5件の講演が行われました.
選奨
大会終了後に座長,実行委員による選考を行い,以下の選奨を決定いたしました.
〈研究奨励賞〉
講演番号PW-01:佐藤啓人様(名古屋大学)
「ナノレオロジー計測法を応用したプリンタブルエレクトロニクス用インク材料の力学特性計測」
講演番号IT-02:駒崎友亮様(産業技術総合研究所)
「湿度変動電池の開発と応用」
〈ベストプレゼンテーション賞〉
講演番号IJI-02 :山口彩乃様(山形大学)
「高分子顔料分散剤の化学構造が白色インクジェットインクの分散性及び吐出に与える影響」
講演番号EP-05:中野博貴様(東京科学大学)
「ドーパント分子の電界はき寄せを利用した液晶性有機半導体における電荷注入特性向上機構の解明」講演番号PW-02:西岡柊哉様(東海大学)
「画像解析によるすじの定量的評価および統計解析を用いたすじの基礎検討」
まとめ
今回のICJ2025では,ハイブリッド形式の開催として,講演者,有料参加者合わせて255名,実行委員,スタッフ,展示関係者を含めると約310名が参加され,盛会裏に終了することができました.デジタルテキスタイルなど,これまでなじみの薄い技術領域,技術者との交流が新鮮でした.講演件数はICJ2024を上回ったものの参加者数がやや減少しており,今後の課題にしたいと考えています.
企画や運営上の工夫も,さまざま行ってきておりますが,至らない点も多々あり,関係者にご迷惑をおかけした点をお詫び申し上げます.本大会を運営するにあたってご協力いただきました,発表者の皆様と,大会実行委員・スタッフの皆様座長の皆様学会理事・評議員の皆様,そして,発表を支えていただいたご所属の関係者の皆様に,厚く御礼申し上げます.
次のICJ2026では,今回の良かった点悪かった点,アンケート結果も踏まえて,さらに充実した大会とするべく企画 していく予定です次回も引き続きご協力のほど,よろしくお願い申し上げます.