複写機遺産第18号

リコー  リコピーFT4060

一般オフィスでのPPC普及に大きく貢献した新型エンジン搭載機
A new engine-equipped copier that has greatly popularized PPC in general offices
 

発売年 :1982年
方 式 :乾式電子写真方式
複写速度:21枚/分(A4)
所在地 :神奈川県海老名市 株式会社リコー リコーテクノロジーセンター

【学会誌へのリンク】
 65 巻 4 号 掲載予定 (2026)
https://www.jstage.jst.go.jp/browse/isj/-char/ja

1982年6月に発売されたリコピー FT4060 は,小型機でありながら高画質・高耐久・高信頼を同時に実現し,1980年代の普通紙複写機(PPC)技術の進化を方向づけた機種である.

その中核を成す「F/Fエンジン」は,フェライトを芯材としたシリコン樹脂コートキャリアと新規帯電制御剤を用いたトナーからなる長寿命二成分現像剤,ヒ素セレン合金を用いた高感度・長寿命感光体を軸に,サプライ,メカ,エレキ,プロセス技術を結集した作像システムの総称である.

本エンジンでは,帯電制御機能をキャリアではなくトナー側に持たせるという技術転換により,現像剤の飛躍的な長寿命化を実現した.

さらに,リコー初の反射型フォトセンサによるトナー濃度制御や,感光体周辺の温度変化を検知してバイアスを制御するプロセスコントロールを導入し,高画質の安定維持を可能にした.このように,核となる材料の性能を最大限に引き出すため,プロセス条件および制御を含めた統合的なシステム設計を取り入れた点に,F/Fエンジンの本質がある.

FT4060は市場でも高い評価を受けたが,その価値は製品としての成功にとどまらない.F/Fエンジンはその後約10年にわたり,18cpmから72cpmに至る幅広い速度層の新機種へ継承され,1980年代の乾式PPCエンジン設計の規範となった.ここに,FT4060の最大の技術的意義がある.
 


 
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