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未来を創る液晶材料とデバイス技術

来て見て触れて、感じよう!飯野研究室見学会

開催場所:東京科学大学すずかけ台キャンパス
開催日:2025年11月07日(金)
2025年11月7日(金)15:30~17:30に、Imaging NEXT第4回を東京科学大学すずかけ台キャンパスにて開催しました。今回は「未来を創る液晶材料とデバイス技術 ~来て見て触れて、感じよう!飯野研究室見学会~」と題して、飯野裕明先生(東京科学大学 総合研究院 准教授)の研究室を訪問し、研究内容に関するインタビューと実験室見学を実施しました 。この様子はオンラインでも同時に配信され、参加者は現地9名、オンライン3名の計12名でした(講師、委員含む)。また、場所を移しての情報交換会には現地の9名全員が引き続き参加し、更に深い議論を通じて懇親を深めました。 インタビュー及び実験室見学は、以下の4つのセクションに分けて進行しました 。 1. 飯野先生ご自身について 2. 研究内容について 3. 実験室見学 4. 今後の展望について 「飯野先生ご自身について」のパートでは、飯野先生が科学・研究の道に進むきっかけとして、NHKで放送されていた「電子立国日本の自叙伝」をご覧になり、半導体に興味を持たれたことが語られました。大学では電気電子を専攻し、当時のIT系(ソフト)ブームの中で、当初から希望していたハードウェア、特に半導体を扱う研究室に進まれたとのことです。 また、学生指導においては最初から答えを教えるのではなく、学生自身が計画を立てて進めることを重視されており、「うまくいかない経験や、そこから得られる気づきが重要である」という信念に基づいているとのお話がありました。 「研究内容について」のパートでは、現在の主な研究テーマである「高移動度の有機半導体材料とデバイス技術」についてご紹介いただきました。従来、有機材料はアモルファス(非晶質)が主流であったため移動度の向上が課題となっていましたが、「より高い移動度を持つ材料が欲しい」という目的から結晶材料の中でも液晶性を発現する材料に着目されたとのことです。液晶が持つ「液体でありながら分子が自発的に整列する」という特徴を活かすことで、高速の塗布プロセスの下でも構造が乱れにくく、高い移動度を持つ結晶薄膜が得られることが確認できました。また、液晶には多様な相があることから、それぞれの目的に応じた最適な状態が得られるのではないかという考えの下で研究を進められ、それが可能であることも実証されています。 続いてはいよいよ実験室見学です。飯野研究室の強みは、材料の合成から評価、デバイス化、そしてその評価まで、上流から下流までを一貫して研究を行っている点です 研究室では以下の設備を見学させていただきました。 ・合成部屋: 試薬、ガラス器具やドラフトが並ぶ、材料を合成する部屋でした。 ・測定部屋1: 熱物性測定装置(DSC)、温度を変えながら結晶構造を測定する装置(XRD)、分光光度計、デバイス評価装置(プローバ)などがありました。 ・測定部屋2: 微小な高さや表面粗さを測るAFM、キャリアの移動度を測定するTOF法などの装置がありました。 ・準クリーンルーム/クリーンルーム: 薄膜を作成し表面観察などの評価をする部屋で、スパッタ装置、グローブボックス、レーザー顕微鏡などが配置されていました。 ・居室でのデモ: 皮膚を透過する700-800nmの光に吸収を持つ材料(液晶性フタロシアニン)を用いた近赤外線フォトダイオードにより、指から脈波を計測するデモンストレーションを見学しました。膜厚200-300nmと薄膜でも十分な光吸収を有するため、フレキシブルで安価な使い捨て生体計測デバイスとしての将来性が示されました。 実験室見学後の「今後の展望について」のパートでは、近い将来と10年後の将来に向けたビジョンが紹介されました 。 近い将来では、生体モニタリングやヘルスケア分野への応用が有力であり、有機材料の低コスト性と加工のしやすさを活かして、絆創膏のように皮膚に貼って使用できる使い捨て型のセンサーデバイス(心拍や呼吸、振動などの計測)が期待されているとのことです。 10年後のより長期的な目標としては、イオン伝導と電子伝導の性質を併せ持つ液晶材料の特徴を活かした素子の開発を目指されていることが語られました。液晶材料に不純物ドーピングを施して電圧をかけると、不純物イオンが動くことで不純物分布をコントロールできる現象を応用した、ニューロモルフィックデバイスの可能性についても言及されました。 飯野先生のお話、実験室見学とも非常に興味深い内容で、最後の質疑応答では参加者全員から質問が発せられるなど、時間いっぱいまで活発な議論が行われました。このような貴重な機会を提供いただいた飯野先生、及び実験室を案内くださった学生の方に改めて感謝申し上げます。
報告者:企画委員長 中井 洋志(エトリア株式会社)